群雄割拠の章
第2話 「だから対価を……払わなければならないの」
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―徐州牧、陶謙の手によるものだと」
「陶、謙……」
徐州牧、陶謙。
昨年末より、蠢動する諸侯の一人だったわね。
連合では静観を決めこみ、劉虞討伐軍の協力要請も断った人物。
にも拘らず、献帝に貢物を差し出し、刺史から州牧になった男。
最近では揚州や豫州にも手を伸ばし、袁術にも接近しているという。
私がもう少し早く献帝の周りを引き締めていれば、そんなことなど許さなかったのに……
「……陶謙へ真偽を問いただす書状を送りなさい。我が父と知って、殺したのかと……」
「華琳様! 陶謙の翻意は明白です! 曹嵩様のご自宅には曹家の旗もあり、華琳様のお身内と近隣住人も知っていました! そして街の中で曹嵩様のご自宅だけが荒らされていたのが証拠です!」
「………………」
秋蘭の悲鳴のような報告。
そう……父の家だけが、ね。
――と、ギリッ……と私の耳に鈍い音が聞こえた。
見れば、春蘭が俯き、跪きながらその握りしめた手からは血が――
「……お父君の……我が叔父の遺体には、多数の……刃の跡がありました。そして、その身から剥いだであろう、衣服の破片も……」
「………………」
「あれほどに……あれほどまでに辱められた叔父の姿を……私は……わた、しは……」
「春、蘭……」
そう……貴女がそこまで怒りを感じるほどに、我が父は辱められた、と。
……
…………
………………ふっ。
ふふっ……ふふ……ふふふふふふふふふ……
「ふふっ……そう……わかったわ」
「華琳……さ、ヒィッ!?」
静かに笑う私を見て、それを覗きこんだ桂花が悲鳴を上げる。
あら……どうかしたの、桂花?
私を見て、怯えるなんて……
「か、かかか、華琳、さま……」
「……桂花。すぐに洛陽に向かい、献帝陛下に事の次第を報告なさい。その上で、私が父殺しの仇討ちをすることを奏上……いえ、認めさせなさい」
「は……は、ハッ!」
私の命に、桂花が転げるように王座の間から飛び出していく。
「春蘭、秋蘭……すぐに戦支度を。全軍を上げて徐州へ向かうわ」
「……御意」
「はっ……し、しかし華琳様。我が軍は兵糧不足で、長の行軍は難しく……」
「そう……なら兵糧は、現地で略奪すればいいわ」
「!? 華琳さ……」
まだ声を荒げる秋蘭を、私は横目で睨んだ。
秋蘭は目を見開き、言葉を飲み込む。
「なに……? まだ問題がある?」
「あ、はっ……りゃ、略奪すれば……徐州の民に、華琳様を恨む輩も……」
「あら……問題ないわよ。だって……」
私は――笑う。
「徐州に民なんて……いなくすればいいのだから」
「――っ!?」
「ふふ……そう。徐州に生き
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