群雄割拠の章
第2話 「だから対価を……払わなければならないの」
[1/12]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
―― 孫策 side 建業 ――
「えーと……これで……うーん……ああ……うん。ふーっ……終わったわ」
「どれ……ふむ、いいだろう。では、これはこのまま処理しておく」
「よろしくね。じゃあ、次の陳情だけど……」
わたしは新しい竹簡へと手を伸ばす。
と、冥琳が、わたしを見ながら苦笑していることに気がついた。
「? 冥琳? なによ?」
「いや、なに、その、な」
冥琳が、苦笑しながら目をそらす。
……あ。
「なによ。まだそんなに違和感ある? わたしが仕事をしているのが」
「いや、まあ……その、だな」
あからさまに目を逸らせたまま、頬を掻く冥琳。
「ふーんだ! もう、どう思われてもいいわよ。わたしは、わたしのしたい様にするだけだもんねーだ!」
「いや、悪いことではないぞ、うん。ただ、その……あまりの様変わりについていけないだけだ」
め〜い〜り〜ん、あなたねぇ……
「いーわよ、いーわよ! どうせ未だにシャオに『おねえさまの偽物でしょう?』とか言われるしさぁ……蓮華は会うたびに『お姉さまが生まれ変わられた!』とかって目をキラキラさせるし!」
「まあ……そうでしょうなぁ」
「祭は、わたしがいつまで続くか穏や思春、おまけに亞莎まで巻き込んで賭けまでするし」
「祭殿は……はあ、まったく」
「まあ、胴元の祭はさっさと負けて、私に文句言ってきたところをしばいといたんだけど」
「………………」
なによ、冥琳。
その「賭けに参加しなくてよかった」って目は。
「ま、まあ……皆も言葉で何を言おうとも、本心では喜んでいるさ。どのみち、孫呉の再建で忙しいのだからな」
「だから真面目に働いているんじゃない。なのに、そこまで変な対応されちゃうなんてさ……」
「あーあー、分かった。私が悪かった。すまん、謝る」
冥琳が降参だ、と両手を上げる。
ふふふ♪ 勝ったわ。
「じゃあ、今度ご飯奢ってね?」
「はいはい。それぐらいで雪蓮が真面目に働いてくれるなら、いくら奢ろうと安いものだ」
「んふふ〜もっちろん、白酒もつけてね?」
「…………………………」
真面目に働いたからといって、お酒をやめないとは言ってないわよ?
「くっ! ぬかった……」
「んっふっふ」
……ふう。
さて、と。
「ねえ、冥琳。ちょっと真面目な話なんだけど」
「……? なんだ?」
冥琳の声色が硬くなる。
「孫呉の復活。母様の宿願……成ったわね」
「……ああ」
孫氏の末裔である母様の夢。
自分たちの国で、家族が笑って暮らせる世界を作る。
それは、いつしかわたしの、そして冥琳や祭、蓮華やシャオ、そして孫呉全員の宿
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ