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不思議な縁
第七章
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ゆっくり話せるでしょ」
「そうだね。それじゃ」
 二人は歩いて公園に向かった。そこまで思ったより早く着いた。もっともこれは達之の主観であり彼があれこれ考えているうちに辿り着いたのであるが。
 二人はまたあのブランコに並んで座った。最初に口を開いたのはまたしても桃子であった。
「何かさ、あっという間だったね」
「そうだね、本当に」
 そう感じていたのは達之だけではなかった。桃子も同じであった。
「家の前で会ってね」
「それでここに戻って」
「嘘みたい」
 桃子はふとこう言った。
「モモを助けてくれた人と一日に二回も会うなんて」
「俺だって同じだよ」
 それは彼も頷くものがあった。
「あれよこれよって間に」
「合コンまでやって」
「歌、上手いんだね」
「大学じゃ声楽やってるから」
「へえ」
「将来。音楽の先生になりたくて」
「ふうん」
 何か桃子のことをはじめて聞いた。あれだけ色々話してはじめてであった。
「意外でしょ。こんな派手な格好で」
「別にそうは思わないけど」
 桃子に顔を向けて言った。
「そうした格好今じゃ普通だし」
「そうなの」
「俺はそう思うけれどね」
「わかったわ」
 彼の言葉に一先頷いたようである。
「それでさ」
「うん」
 二人の話は本題に入ろうとしていた。
「何で。俺をここにまた誘ったの?」
「うん」
 桃子はそれを受けて話しはじめた。その顔が月の光に照らし出されて黄色く光って見えた。淡い光であったが夜を明るくするには充分であり公園も彼女も照らし出していた。二人はその淡い光を出す月を見ていた。見ながら話をしていた。
「話聞きたくて」
「俺の話?」
「そうよ。モモを助けてくれたし」
「あれはね。俺動物が好きだから」
「昼と同じ理由ね」
「うん」
 その言葉に頷く。
「それで君に会うとは思わなかったし合コンでもまた会って」
「それで今ここにもいて」
「思えば不思議な話だよね」
「そうよね。何かモモに案内されたみたいに」
「あの猫にかい」
「ええ」
「そういえばそうかも知れないね」
 彼もそれに頷くものがあった。
「あたし決めてるんだ」
「何を?」
「モモ大事にしてくれる人なら付き合ってもいいって」
「付き合っても」
「そうよ。何か偉そうな言い方よね」
「まあね」
 顔を見合わせて苦笑し合った。
「それに合コンでも一緒になったしさ。やっぱり縁があるんだろうし」
「俺でいいの?」
「そっちこそあたしでいい?」
 桃子の方も聞いてきた。
「いい加減なところあるけど」
「いいよ」
 達之は言った。
「俺なんかでよかったら」
「そう、よかった」
 桃子はそれを聞いてにこりと微笑む。その時だった。
「あら」
「ニャーーー
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