第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第二節 決意 第五話 (通算第50話)
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反政府運動がジオン公国残党と結びつくと主張した。冷静に判断できる政治家がいなかった訳ではないが、連邦政府は軍部の要望を容れ、地球上に活動範囲が限定されていたジオン残党狩り専門の特殊部隊〈イージス〉を軍に昇格させ、再編成の上、権限を拡大し、ティターンズとして認可した。ティターンズ総司令長官にはジャミトフ・ハイマン大将が着任した。連邦の政治家が利権を貪る寄生虫と罵られ、蛇蠍の如く毛嫌いされるのも仕方ない。
そもそも軍人と政治家の結びつきが強いのは、地球市民に軍関係者が多く票田となるからであるが、退役軍人が政治家になるケースも多く、議会に国防族が三割強も占めているという歪な現実に問題がある。だが、地球市民からすれば、歪な構造ではない。自分たちを守る軍人および国防族に信頼を寄せる者たちの方が大多数だった。こうして軍人も世襲化していき、宇宙から吸い上げた利潤を消費して軍の影響力が強化される図式は戦前戦後で変わりはしない。
そしてその政治の裏側では、軍需産業同士の縄張り争いが起きていた。老舗のヴィックウェリントン社はMSの新規開発に熱心ではない。同社は艦艇を主体とする軍需産業体であり、航空機や航宙機はハービック社が強い。陸上車輛や火器はヤシマ重工となっていた。ボウワ社やブラッシュ社はミノフスキー物理学の軍事有用性が確認されて以後、軍部との繋がりを持つにいたる。
MSの登場以後、アナハイム・エレクトロニクス社とコロラド・サーボ社が航宙機メーカーのハービック社に変わろうとしていた。先んじたのは、マイナーチェンジによる性能向上を実現したコロラド・サーボ社である。アナハイム・エレクトロニクス社は新規開発にこだわるあまり、連邦軍が真に求めるものに気づかなかった。
コロラド・サーボ社はティターンズと積極的に結びつき、新規MS開発にアドバンテージを持つにいたった。その上、ティターンズは徹底的に月企業やコロニー企業を排除し、地球企業を優遇したのだ。アナハイム・エレクトロニクス社は巻き返しを図るためにも、エゥーゴを支援する以外選択の余地はなかった。
「結局、軍閥政治か財閥政治かしかないのかよ……」
メズーンにとってその尖兵として利用されるのは面白くない。月が地球に取って代わるだけならば、スペースノイドに真の自由など訪れないからだ。ならば、メズーンは何を目指せばよいのか。レドリックが目指すことを出来るだけ援けること。それが精一杯だった。
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