第一部 刻の鼓動
第三章 メズーン・メックス
第二節 決意 第二話 (通算第47話)
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た。
「で?俺は何をすればいい?」
メズーンは察しが早かった。レドリックが自分に話す前に何かしらの手を打っていない筈がないと信じているのだ。だが、レドリックはメズーンを巻き込んでいいのか、まだ迷っていた。
「策はある。だが、そうすれば今度はお前が追われる身になる。家族の安全も保証できない」
「……エゥーゴか」
「気づいていたのか……」
「薄々な。勘づいているのは俺ぐらいさ。お前の上官なんぞ、連邦軍の取り込みが楽になるぐらいに思ってるよ」
レドリックはスパイではない。歴としたティターンズのライトスタッフである。だが、ティターンズを内部から変革するには時間が掛かる上に、バスクの暴走に対してジャミトフの手綱が弛い――というよりも黙認している風である。となれば、外の力を使うしかなかった。エゥーゴとの接触を思案している時、恩師であるスタンレー教授に再会した――正確には、スタンレーがレドリックと再会できるように仕組んだ。スタンレーは融和主義者であり、エレズムの一派であるがエゥーゴと無縁であるとレドリックは考えていた。しかし、スタンレーは、サイド7の反地球連邦政府グループの幹部であり、エゥーゴの協力者であった。
「エゥーゴにガンダムを強奪させたい」
「正気かっ?!」
己の大声で我に返ったメズーンは小さい声で聞き直した。
「そんなことが可能なのか?」
「綿密な計画ではないから、失敗の可能性もある。計画を話せば、親友といえども後戻りさせる訳にはいかなくなる」
親しげな眼差しが冷徹な軍人のものに変わっていた。メズーンにもレドリックにも、悛巡がない訳ではない。メズーンは両親には申し訳ないが、ここで引き下がって、ユイリィを見殺しにすれば、自分で自分を赦せなくなり、上を向いて生きていくことができなくなるのではないか――そう感じた。レドリックは友を無駄死にさせるかも知れないことに躊躇いがある。
「騒ぎを起こす間にファを助けられるか?」
「運良くブライト中佐のシャトルが繋留されたままだ。彼処へ避難させる予定だ。お前の家族は俺が迎えにいく」
メズーンは頭を振った。両親は恐らくサイド7を離れたがらないからだ。この作戦は分秒を争う事態になりかねない。で、あればできるだけシンプルに動いた方がいい。
「エゥーゴが動けば、バスクは追撃を掛けるな?」
「虎の子の《ガンダム》を奪われて放置するなら、奴に未来はないさ」
抜け目ないバスクならば、これを口実にエゥーゴ派の弾圧を始めるだろう。それこそがレドリックの狙いだ。
「メズーン、お前には《ガンダム》を動かしてもらいたい」
レドリックはメズーンの覚悟を見定めるかのように、真剣な眼差しを向けた。
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