第百七十五話 信長着陣その六
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「強いのう」
「昨日よりも勢いがいいわ」
「全く、疲れを知らぬのか」
「よくここまで攻められるものじゃ」
「どういうことじゃ」
彼等は苦々しい顔で話した。
鉄砲も弓矢も放つ、そして槍も出す。無論丸太も。
そうして敵を防いでいた、柴田はこの日も彼等の指揮を執っていた。
その采配を執る中でだ、こう言うのだった。
「やはり強いわ」
「全くですな」
盛政がその彼に応える。
「今日も」
「このまま攻められれば」
生駒がここでこう柴田に言ってきた。
「やがては」
「うむ、今日じゃな」
「今日の昼までかと」
彼等がもつのはというのだ。
「これ以上は」
「防げぬか」
「もちませぬ」
軍勢が、というのだ。
「川に突き落とされます」
「船は全て向こう岸じゃ」
柴田は後ろ、即ち川の方を振り返らずに述べた。
「こちら側にはない」
「あえてそうしましたな」
「逃げられると思えば敗れる」
ここでもこう言うのだった。
「相手は上杉じゃ」
「だからこその背水の陣ですな」
「そういうことじゃ。船は殿が渡られるものじゃ」
つまりだ、信長と彼が率いる十万の本軍が川を渡る為にあえて向こう岸に船を全てやったのである。柴田はそうしたのだ。
「だからな」
「我等はですな」
「ここで戦うしかない」
退く道はない、というのだ。
「だからな」
「それではですな」
「殿は必ず来られる」
間違いなく、というのだ。
「今日にな」
「でjは」
「昼までなら耐えられる」
柴田は腕を組み言った。
「それなら充分じゃ」
「ですな、殿ならば」
「間もなく来られる」
このことを確信していた、誰もが。
「昼までにな」
「左様ですな、それでは」
「今は守るだけじゃ」
手取川の北岸、ここをというのだ。
「だからな」
「それでは」
「うむ、ではな」
こう話してだ、そしてだった。
彼等はこの日も上杉軍と果敢に戦いだった、そして。
鉄砲を放ち続け槍で敵の突進を防いだ。織田軍は歩兵が中心であり上杉軍の騎兵をそういったもので防いでいた、だが。
次第に彼等の気力が尽きてきた、疲れも出て来て。
一人、また一人と斬られ射られ突かれて倒れていく。そして。
疲れで動けない者も出て来た、その彼等にだ。
元親は何とか戦う様に言う、だがだった。
「駄目です、流石にです」
「疲れが溜まっております」
元親の家臣達が彼に言うのである。
「動けぬ者も今は仕方ありませぬ」
「どうしても」
「くっ、そうじゃな」
元親も頷くしかなかった、今は。
「昨日に続いてじゃからな」
「しかも上杉のこの攻めです」
「まさに奔流です」
「この攻めを受けていては」
「これもまた」
「わ
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