第十九話 友人と仲間その十二
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「現実主義、そして嘘を言おうとしない姿勢はいいけれど」
「あの人の主張もですね」
「かなり無理があるね」
暖かい目での言葉だった。
「どうにもね」
「そうなんですね」
「うん、僕はああした考えではないよ」
「幽霊とか宇宙人も」
「そうした話には確かに嘘が多いけれど」
「全てを否定することはですね」
「しないよ」
絶対に、という口調での言葉だった。
「そうしたことはね」
「そうですか」
「それもまた科学的でないし学問的にも間違っていると思うから」
それ故にというのだ。
「しないよ」
「そうなんですね」
「そうだよ、そしてね」
「そして、ですね」
「とりあえず相手、君達を狙っている相手のことはね」
その名前も顔も全く知らないが敵意を持っていることは明らかである相手のことをだ、智和は再び話した。
「国家でも公の組織でもない」
「けれど相当な技術や施設、予算を持っている」
「そうした相手ですね」
「しかも怪人にこだわりがあるね」
このことをだ、智和はここで言い加えた。
「何しろ刺客を雇った方が合理的なのに全くしないのだから」
「じゃあやっぱり」
「錬金術師ですか」
「何度も言うけれど錬金術が本当にこの世にあるのならね」
そして錬金術師が実在しているならだ。
「その可能性が高いよ」
「そうなんですね」
「その場合は」
「そういうことだよ。ではね」
ここまで話してだ、智和は自分の左手の腕時計を見た。そのうえで少女達に言った。
「もういい時間だから」
「今はこれで」
「これでお開きですね」
「そうしよう、それぞれのクラスに戻ろう」
そうしようというのだ。
「今からね」
「はい、それじゃあ」
「そういうことで」
七人の、裕香も入れた少女達は彼のその言葉にも応えた。そうしてだった。
一同解散となった、そしてこの話の後で。
薊は裕香と共に鈴蘭のクラスに行って彼女に自分達が話したことをおおまかだが要点を踏まえて話した、その話を聞いてだった。
鈴蘭は考える顔になってだ、薊に答えた。
「錬金術ね」
「ああ、漫画とか小説によく出て来るな」
「それが本当にあったらね」
「怪人を作ってあたし達に送り込んでいる連中のこともな」
「確かに説明がつくわね」
鈴蘭もこう言うのだった。
「それなら」
「ああ、そうだよな」
「そうね、現実的な話じゃないけれど」
「現実的ではないことは最初からね」
ここでこの声が来た、声の主は黒蘭だった。彼女は今ここに来たのだ。
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