第十九話 友人と仲間その十
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「大金持ちですよね」
「そうだね、あらゆる物質を変えられればね」
「石を宝石に変えることも」
「出来るよ、錬金術ならね」
「それはかなり凄いですよ」
菊の目の輝きがさらに強くなっていた、そのうえでの言葉である。
「それこそお金に困らないですよ」
「その通りだね」
「それにですね」
桜はその錬金術について智和が話したことの中身を一つ一つ思い出しながらだ、彼に対して考える顔で尋ねた。
「ホムンクルスですけれど」
「そのことだね」
「若しその技術を使えば」
「怪人を生み出すことも出来るね」
「そうですよね」
「うん、僕もそう思うよ」
智和もこう桜に答える。
「錬金術師ならね」
「そうですよね」
「フランケンシュタインのモンスターもこれになるかな」
これも小説だけの話ではない、記録として残っている。
「人造の生命を生み出すこともまた錬金術だよ」
「そうなんですね」
「錬金術はスーパーテクノロジーだよ」
現代の見方で言うと、というのだ。
「今ある科学より遥かに進んだね」
「科学ですか」
「科学でもあり化学でもあり」
そして、というのだ。
「生物学や他の学問にもなるね」
「そして魔術でもですね」
「それも入っているね」
それが錬金術だというのだ。
「魔術もかつては科学と一緒だったしね」
「魔術も科学も錬金術もですか」
「そう、全て一緒だったんだよ」
中世ではそうだった、だから錬金術も魔術とみなされて教会から弾圧されていたのだ。とはいっても権力者の中には密かに研究を続けさせていた者もいる。あの青髭公として多くの美少年を惨殺したジル=ド=レイもその一人だ。
「他の学問もね」
「そうだったのですか」
「かつての欧州ではね。イスラムや中国もその傾向があったよ」
つまりどの文明でもだったのだ、学問が細かく分類されるようになったのは近代になってからのことである。
「錬金術は幻想じゃなかったんだよ、そして人造生命にもね」
「関係が深いんですね」
向日葵は目を瞬かせてだ、智和の言葉を聞いていた。
「じゃあ本当に錬金術師なら」
「資金も技術も設備もね」
「怪人を生み出すことに心配はいらないですね」
「あくまで錬金術のそうした話が本当であって」
「錬金術師がいればですか」
「そう、実際にね」
怪人を生み出すことがというのだ。
「そして錬金術師が君達を知っていて」
「私達に敵意があれば」
「その敵意をどうして持っているかも謎だけれどね」
「怪人を生み出して私達に差し向けることも」
「あるね」
「そういうことなんですね、錬金術ですか」
向日葵もこの技術について言うのだった。
「それですか」
「ちなみに日本にも錬金術は入って来ているよ」
「えっ、そうな
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