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ドリトル先生と伊予のカワウソ
第五幕その十一

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「少なくともずっと日本にいたいです」
「八条大学に来られたことは先生にとってよかったみたいですね」
「はい、とても」
 先生ご自身もそう思っているのでした。
「そう思います」
「何かこちらの方が」
「加藤さんの方がですか」
「そこまで祖国のことを好きになって頂けると」
 それが、というのです。
「恥ずかしくなってきます」
「そうなのですか」
「どうにも」
 こう言うのでした、今度は加藤さんがです。
「自分のことではないにしても」
「そのお国が褒められるとですね」
「恥ずかしくなります」
 どうにもというのです。
「そこまでいい国かとも思います」
「僕はそう思いますが」
「いえ、それでも」
「恥ずかしくなりますか」
「どうしても」
 そうなるというのです、そうしたことをお話してでした。
 先生達は一旦旅館に戻りました、そこでまた美味しいものを食べてです。
 そうしてです、加藤さんは先生に晩御飯を食べ終わってからすぐに言いました。
「では先生」
「はい、今からですね」
「温泉に向かいましょう」
「道後温泉にですね」
「長老さんがお待ちです」
「そしてそこで、ですね」
「あの方々のお話を聞きましょう」
 こう言うのでした。
「温泉を楽しみながら」
「わかりました、それでは」
 先生も加藤さんの言葉に頷いてでした、御飯を食べ終わった余韻もそぞろに席を立ちました。そうしてでした。
 動物の皆にもです、笑顔でこう言いました。
「じゃあ君達もね」
「あっ、僕達もなんだ」
「一緒に来ていいんだ」
「うん、だって僕達はいつも一緒じゃないか」
 だからだというのです。
「今だってね」
「それじゃあ僕達も」
「一緒に温泉に入って」
「その中で楽しみながら」
「長老さんとお話するんだね」
「愛媛の狸さん達ともね」
 この人達とも、というのです。
「お話をしよう」
「まずはあの人達とお話をして」
「そして次はカワウソさん達とだよね」
「あの人達ともお話をして」
「それでだよね」
「そうだよ、まずはお話をしないとね」
 何にもならないというのです。
「それで物事が解決すればいいんだよ」
「よく力づくっていう人がいるけれど」
「先生はそれはないね」
「昔からそうだよね」
「絶対にそうしないよね」
「僕は暴力とかは嫌いだよ」
 先生の一貫した信条です、先生は暴力は嫌いです。
「最近インターネットでも、日本のそこでもね」
「そうした暴力を使う輩はいますよ」
 その日本人の加藤さんの言葉です。
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