新たなる力へ
Trick69_サンキュ、自分を見失いかけていた
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≪小烏丸≫でも一番だ。
黒妻さんもすごいよ。絶対に才能あふれているとはいえないけど、努力で補っている。
基礎メニューを自分から数を増やして地力を鍛えていっている。
接近戦の代名詞である≪キューブ≫では、対戦相手の宗像も苦戦させている。
≪道≫の練習は始めたばかりだけど、驚いたぜ。
≪石の道≫の適正は知っていた。それに加えて≪轟の道≫にも才能があったんだぜ?
びっくりだよ。
2人とも、合宿中にはスイッチはまだできない。けど、本当に時間の問題で習得できると思う。
思っていたけど・・・やっぱり、才能ある人の成長を見るのは、つらいな・・
自分の・・・無能さを噛みしめてしまうよ・・・・」
最後は消えそうな悲鳴のような一言。
瞼は閉じて無表情で分かりづらいが、空に掲げた右手は震えていた。
心からの言葉だった。
美雪は手を伸ばし、震えている右手を握る。
一瞬、ビクリと反応したが、その暖かさに信乃は委ねた。震えは少しずつ治まっていった。
「それで信乃はどうしたいの?」
「それで、って軽く返すなよ・・・」
「どうしたいの?」
「どうしたい・・・か。正直、分からなくなっている」
別に佐天達を教えるのが嫌になったわけじゃない。
自分の無能さに苦しんでいるのであって、彼女達をどうこうしようと考えているわけじゃない。
信乃は弐栞。その特徴の一つは『習得能力の限界』。
目で見て覚えた能力は、その8〜9割の実力しか習得できない。
そして所属していた企業、ASEでは『マルチエージェント』と呼ばれていた。
本来ならば誇るべき事だろう。実際に、信乃は誇りを持って仕事をしていた。
同時に、大きなコンプレックスになっていた。
その分野において超一流のスタッフを揃えている企業、ASE。
超一流がいる中で超一流では無いながら、有名となった西折信乃。
その名声は、ある意味で『超一流になる才能がない』と言われているように信乃は感じていた。
贅沢なのは分かっている。でも、『その分野で一番』に成りたいとずっと考えていた。
そして信乃手に入れていたと感じていた。『その分野で一番』に成れるもの、A・Tを。
数少ない自慢できる事を、この合宿で何度も崩れかけた。
今度こそ『その分野で一番』になれるもの見つけたと思ったのに、それもまた成れないものなのか。
「結局、俺はただのコピーしかできないのかな、と改めて思ってさ」
「それ、答えになっていないよ。私が聞いたのは信乃がどうしたいのかってことだよ」
「たぶん、一番に成りたいんだと思う」
「だったら答えはわかっているんだね♪」
「答えは分かっている。努
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