暁 〜小説投稿サイト〜
Ball Driver
第四十五話 リベンジマッチ
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
チャーのジャガーが声をかける。守備陣からは元気の良い返事が返って来た。




「多分ストレートとスライダー。速くない。そして荒れてるぞ。見て行った方が良いかもしれねぇ。」

ベンチに帰ってきた飯島の言葉に、帝東ナインが頷く。飛鳥は1人、首を傾げていた。

(こんな大した事ない奴だったっけ……?)

訝る飛鳥の眼前で、二番バッターがヒットを打った。



ーーーーーーーーーーーーーーー


「いやー、悪い悪い。さすがにあれは捕れねぇよなぁ」

権城が謝りながら、ショートの瑞乃からボールを受け取る。三遊間を抜かれた瑞乃はふくれっ面で不満げである。

「えー、ボクならあの打球くらい、もう一度あれば捕れるよー」
「よーし分かった。これからもどんどん打たせるから、しっかり捕ってくれよ。」
「うん!」

無邪気な笑顔を見せた瑞乃を、権城は頼もしく思っていた。打順はここからクリーンアップ。要警戒である。

<3番ショート佐武くん>

春はベスト4、夏はベスト8。2度の甲子園でも活躍し、夏はホームランも放った佐武が打席に入る。今は主将として、チームを引っ張る。

バシッ!
「ストライク!」

佐武はあっさり初球を見逃した。
そして権城を品定めする。

(……ホント、大した事ないな。逆球だらけでコントロールも良くないし、こりゃ一気に決められるかも)

そう分かれば佐武は遠慮しない。
次の球からは積極的に打ってでる。
しかし、権城の球はインコース高めに食い込んできた。

(それでも打てる!)
カァーン!

佐武は厳しいコースの球も、肘を畳んで強引に打って出た。強烈なゴロが三遊間を襲う。

「待ってましたぁ!」

そのゴロに、瑞乃がスライディングを決めた。滑りながらの逆シングルキャッチで、身を翻しながら二塁に送る。軽業師のような動き。瑞乃は茉莉乃と同じくらい身体能力が高い。

(……刺せる)

二塁ベース上で瑞乃からの送球を捕った佳杜は、そのままボールを一塁へ。今度は神奈子の胸の高さにドンピシャで送られ、神奈子が必死に体を伸ばすまでもなくゲッツーが成立した。

「よーしナイスだ瑞乃!」
「いぇい☆」

権城と瑞乃はハイタッチしながらベンチに戻る。一回の表、結局帝東の攻撃は三人で終わった。




「かーーっ!上手く打てたのになぁ!」

ゲッツーに倒れた佐武は、瑞乃の美技に苦笑い。その様子を自軍ベンチから見て、権城はほくそ笑んでいた。

(そうだ、そうだ。これからも上手く打ってくれよ。……上手くな。)









[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ