暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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全ては呼び鈴とともに
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的に、君臨していた。

《獲物》と《捕食者》

今この瞬間。

どちらがどちらかは、第三者に訊くまでもないだろう。それほどまでに鮮やかに、少年はこの空間を占拠していた。

占拠し、占領し、独占していた。

つかの間の、物騒すぎる沈黙。

これ以上経てば、会話の主導権すら握られるその寸前。

八伎総一郎が沈黙をブチ破った。

さすがの胆力である。子供の殺気など、目の前を通過したそよ風のように綺麗にスルーし、他人向けの丁寧な敬語で本人確認を開始する。

だがそれに反し、少年と少女の警戒心はますます上昇する。

当たり前だ。

あちらの素性確認には答えず、質問に質問を返していく。キレられても仕方がないかもしれないが、別に自分達はこのガキどものご機嫌伺いをしに来たのでもない。

木瀬の苦手な警察(サツ)ではないが、眼前の少年を《連行》しに来たのである。

八伎の淡々とした、それこそ警察の事情聴取のような口調に、痺れを切らしたかのように少年が一語一語を確かめるようなゆっくりとした口調で再度口を開いた。

おじさん達は何、と。

その前にわざわざ、もう一度訊くと言ったのは、二度とは訊かないという事だろうか。

どこまでもナメてやがる、と舌打ちしそうになったが、しかしそれは先刻の怯えを払拭させようとするただの強がりという事が自分でも分かり、自分自身に嫌気が差した。

これ以上相手側に嫌悪感を抱かしたら進行に悪影響が出ると踏んだのか、八伎は努めて丁寧に名乗る。

それに答えたのは、今まで黙り込んでいた少女のほうだ。

こちらはそこらの同い年の子供と似たようなものなのだろうか。明らかに、その幼さの残る二つの眼差しに怯え八割警戒二割を混ぜ、こちらを必死に睨んでくる。こちらのほうがよっぽど可愛げがあるというものだ。

少女は訊く。

何の用だ、と。

それに対する八伎の答えは即答であった。

黒峰重國の使いだ、と。

答える声は、無言だった。
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