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魔法科高校の神童生
Episode29:九校戦、開幕
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絶ってイデアの世界を見ることのできないスバルでは、視界を潰されてしまっては打つ手がなくなってしまう。
光が収まった頃、紫道聖一の姿はその場になかった。

「…チッ。これ以上、抜け出すのはマズいわね…ごめんなさい、隼人。また、迷惑かけることになるわ」

悔しげに舌打ちを漏らして、スバルもその場を後にした。
無人になった林の中、スバルに焼き切られた紫道聖一のコートのフードが、風に飛ばされた。



☆★☆★



昨日の深夜になにがあったのかも知らず、九校戦は何事もなかったかのように開幕した。
九校を代表する魔法師の卵たちが集う場所だけあって、観客の数はかなり多い。述べ10万人。それ程の人数が、興奮気味に観客席に座っていた。
完全に体調を元に戻すことが成功した隼人だが、今度はサイオン酔いになりそうになって慌て視力を下げるのだった。

「あ、隼人!こっちこっち、会長の試合が始まるよ!」

手を振って呼んでくるエイミィに苦笑いを浮かべながら、隼人は競技場に目を向けた。
今から始まるのはスピード・シューティング、通称『早撃ち』の女子予選。一校からは、生徒会長である真由美が出ることになっている。

(七草真由美…エルフィンスナイパーとも呼ばれる貴女の実力、見させてもらいますよ)

真由美の魔法力の高さは知っているが、実際に魔法を使っている所を見るのは初めてだった。
エイミィの隣の席に腰を降ろして、手に持っていたペットボトルの水を煽る。

「ねね、会長ってどんな魔法使うと思う?」

少し興奮気味のエイミィの質問に、隼人はふむ、と顎に手をやった。
スピード・シューティングという競技は、要は動く的を素早く正確に撃ち落とす競技だ。三十メートル先の空中に紅色と白色のクレーが射出され、自分の決められた色のクレーを撃ち抜く。もし相手のクレーを撃った場合は減点となるのだから、かなり正確な射撃能力が要求されることになる。
スピード・シューティングにおける基本戦術は空気弾による単純射撃。これが一番リスクが少なく安定した戦術だ。真由美の魔法力は他の選手と比べて頭一つか二つ飛び抜けているため、単純にクレーを一発ずつ撃っていっても後れを取ることはまずないだろう。ただ、今のルールは準々決勝以降より適用される。
スピード・シューティングは予選と準々決勝以降では形式が異なっているのだ。準々決勝以降が、破壊するクレーを指定された対戦型。
対する予選は、五分の制限時間内に破壊した標的の数を競う、クレーを指定されていないスコア型。
故に、予選だけならば高威力の広域魔法で以ってまとめて破壊するという戦術もとれる。
従って、予選と本戦では使用する魔法と戦術を変えるのが主流なのだが。

「確か、七草会長は戦術を変えないことで有名なんだよね
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