暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode29:九校戦、開幕
[13/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
くさかったのを、達也は悟る。
と、その後ろでは雫が小声で隼人に種明かしをしていた。

(ふんふん…ほのかが、達也を、ラブ、と…ええええ!?)
(静かに…! バレる)
(ご、ごめん…でも、そうなんだぁ)

「……その分、練習も付き合ったし、作戦も一緒に考えたし、決して仲間外れにしているわけでは…」

言い訳しながら、どんどん泥沼に嵌っていくような気がして口ごもる達也と、友人の諸事情を知って驚く隼人にそれを諌める雫。
幾ら鈍感な隼人でも、種明かしをされればほのかがいじけている理由も理解できた。ついでに、達也はそのことに気づいていないということも。

「達也さん、ほのかさんはそういうことを言ってるんじゃないんですよ」

と、ほのかを不憫に思ったのか、美月が口を挟んだのを皮切りに、

「お兄様…少し、鈍感が過ぎると思いますよ?」

深雪が、

「達也くんの意外な弱点発見」

エリカが、

「朴念仁」

雫が、次々と達也を責めたてた。

「雫さん…? あの、なんで俺は足を踏まれているのでしょう?」

そう隼人が言うと、雫に複数の同情の眼差しが向けられた。それに、首を傾げるしかできなかった隼人。結局、競技開始まで達也は女性陣からの集中砲火に耐え、隼人は雫に足を踏まれ続けるのだった。



☆★☆★



コースの整備が終わり、選手がコールされた時、達也はようやく解放された。隼人はまだ踏まれたままだったが。
なんか、もういいやという気持ちになった隼人は、雫の発するオーラに気圧されながらもスタートラインにたゆたう四人の選手に目を向けた。
少々狭めのコースの中側に、他の選手が膝立ちでいるのに対して、摩利は真っ直ぐに立っていた。

「うわっ、相変わらず偉そうな女…」

エリカの呟きを聞きながら、隼人は苦笑いを漏らした。摩利の性格はよく知っているつもりなので、少しだけエリカに納得できる部分があったためだ。それに、エリカと摩利の間に何か確執があることも知っている。好意には疎いが、因縁や負の感情には鋭いのが九十九家の男だ。
と、選手紹介のアナウンスが摩利の名を呼んだ途端、黄色い歓声が特に最前列付近の客席を揺るがした。手を挙げて応える摩利に、黄色い絶叫が更に音量を増した。

「……どうもうちの先輩たちには、妙に熱心なファンが付いているらしいな」

「だね…しかもなんか会長も委員長も対応に慣れてるよね」

「分かる気もします。渡辺先輩は格好良いですから」

異論はない、と隼人は浅く頷く。だが、確かに格好良いが、それを言ってしまったら深雪さんは大変なことになるんじゃ…? というのが偽らざる本心だったが、敢えてそれは言わなかった。

『用意』

スピーカーから、合図が流れる。空砲
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ