第6章 流されて異界
第97話 ここは何処、私は誰?
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るのか判らない……まるで、そうする事自体に意味があるかのようにただ黒板のみを見つめて居るだけで有った少女がこちらを向く。そして、俺の顔をじっと。気の短い人間ならば怒り出すぐらいの長い時間、穴が開くかのように見つめ続けた後、
微かに首肯いて答えてくれた。
その瞬間、
妙にざわついた感覚が教室内を流れて行く。そしてその中に、少し哀しげな気がひとつだけ、微かに混ざり込んで居た。
「驚いた。あの万結が返事をしたって言う事は、あんたと彼女が親戚だと言うのも、何となく理解出来るわね」
本当に驚いたようにそう言うハルヒ。……って言うか、あの程度の返事だけで驚くほどの事なのですか?
確かに、元々が人工生命体ですから、多少は無機質な部分があるのは仕方がないとは思いますが。
それでも、普段の万結がこの学校でどのような生活をしているのか……。
そんな事を考えながら、視線を万結から、正面に立つハルヒへと戻そうとして――
何時の間にか、自らの手の中に開いて居た書籍から、俺へと視線を移して居た少女の深い憂いに沈んだ瞳と視線が……交わった。
何故かその時の彼女の瞳に哀が浮かんで居るような気がしたのですが――
その感覚を確認する為に、もう一度、彼女の瞳を覗き込もうとする俺。
その瞬間、何故か首を絞められる感覚。……と言っても、死ぬような勢いで絞められて居る訳ではなく、ほんの少し左斜め上の方に引っ張られるぐらいの感触と言った方が良いレベルの物だったのですが。
俺に取ってはね。
そして、
「他人と話をする時は相手の目を見ながら話す、って言う最低限の礼儀さえ知らないの、あんたは?」
……と自分の事は棚に上げた言葉を続けるハルヒ。
当然のように、彼女の右手には俺のネクタイ……この高校に通う女子生徒のセーラー服の胸を飾るリボンと同じマゼンタのネクタイがしっかりと握り締められていた。
成るほど。一時間目の始まる前に俺が彼女の掴みかかって来るその拳を躱さなければ、こう言う状況に陥って居たと言う事か。
頭では冷静にそう判断。但し、
「オイ、ハルヒ。首が絞まるからヤメロ!」
右手の人差し指と中指をネクタイと首の間にねじ込んで気道を確保するようにして、そう強い語気で告げる俺。
もっとも、これはフリ。所詮は演技に過ぎない行為。
そもそもどんなに力を込めたとしても、ハルヒ……一般的な人間の少女の力では、俺の纏う精霊の護りは突破出来ませんから。
流石にこれ以上絞めるとマズイと感じたのか、それとも別の理由なのかは判りませんが、俺のネクタイから手を離すハルヒ。
その瞬間、短い休み時間の終了を告げるチャイムがスピーカーより流れ始めた。
そうして、
「取り敢えず、今回は
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