第6章 流されて異界
第97話 ここは何処、私は誰?
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何とも中途半端で、更に、未だ時限爆弾を抱えた状態で走り続けて居るような危険な状態を維持して居ると思うのですが……。
何故なら、一度改変された歴史が産み出した存在を残して置けば、其処に矛盾が生じて、もう一度揺り戻しのような真似を為される可能性はゼロでは有りません。
本当に世界や未来を案ずるのなら、決断しなければならない時はあるはずですから。
所謂、大の虫を生かす為に小の虫を……と言うヤツ。
当然、あまり好きな表現では有りませんが。
もっとも、その歴史を護る……。ハルヒがクトゥルフの邪神と接触しなかった、と言う歴史を確定させる為に行った俺の異世界同位体召喚用の術式に、異界を漂って居た俺が助けられたので、この部分に関しては強く言う事は出来ないのですが。
それに、俺がここに居る、と言う事は、俺の異世界同位体を召喚する事は、今のトコロ不可能と成って仕舞ったと言う事でも有りますから。
ひとつの世界に同じ魂を持った者が同時に存在する事は出来ません。この世界に武神忍と名乗っている龍種の少年は俺一人。それが例え平行世界の人間で有ろうが、時間軸の異なる未来や過去の人間で有ろうが、同時に存在する事は出来ないのです。
もし時間旅行を行って、未来の自分……。例えば、三年先の自分自身に出会ったとしても、それは完全な自分自身の未来の姿ではない、と言う事。魂の段階では完全な別人。所謂、平行世界の未来に行って戻って来た、と言うのに過ぎないのですから。
この辺りに関しては、俺が召喚された後に、このハルヒ関係の事件に関わった俺の異世界同位体を何度も召喚しようとしても成功せず、更に俺が召喚された時に、俺の左目から血涙が流れ出すと言う事態が起きた事も、俺の魂と、その召喚されようとした異世界同位体が同じ物だと言う現われの可能性が高いと思いますから。
手元に落として居た視線を、至極自然な形で上げ、そして右側の席に腰を下ろす少女へと移す。
少し毛先の整っていない短い目のボブ。銀のフレームに映り込むのは板書された文字。ハルケギニア世界でも見慣れた蒼く大きな襟を持つセーラー服と、同じ色の膝上十センチのプリーツスカート。
身体の小さな彼女には少し大きい目の深紫のカーデガンを柔らかく羽織る。
そう、俺は彼女を知って居る。いや、彼女たちを知って居る、と言うべきですか。
そう考えた瞬間。
机の上に広げた教科書をゆっくりと閉じる長門さん。その直後に――
授業の終了を告げるチャイムが鳴り響いたのだった。
☆★☆★☆
「それで?」
何故か、かなり不機嫌な雰囲気。……口をへの字に結び、俺を睨み付けるハルヒ。胸の前に組んだ腕。苛立たしげにリズムを刻む右手の人差し指が二の腕を叩く度に、彼女の長い髪を纏めたリボ
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