第六十八話
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あ危なくないなら……」
……などとは言いつつも、表情が興味津々なリズもクラゲ邪神の背中に登っていき、かくして凍りついた湖には三人の男のみが残されることになった。実に逞しいこのパーティーの女性陣を見習って、情けない男性陣も各々の顔を見合っておっかなびっくりクラゲ邪神の背中へとたどり着いた。パーティー全員がクラゲ邪神の背中に乗ったとともに、クラゲ邪神は湖を覆う氷を破壊しながら、何処かへ移動し始めた。
「クエストでも始まったの……?」
「うーん……依頼型のクエストだったら、ここら辺に開始のログが始まると思うんだけど……」
寝転んでいたリーファが起き上がりながら、彼女の左上の何もない空間を指差した。もちろん、そこには何のログも表示されてはいない。
「と、するとイベント的なものなんだけど……そうすると、なるようにしかならないわね」
事前に種族や世界樹のついでに少し調べただけだったが、ALOでは依頼型とイベント型の二つのクエストがある。依頼型は読んで字の如く、NPCから依頼を受けて達成したら報酬が貰える、といったものだが、イベント型はそれとは違う。開始のログが表示されず、そのイベントがどのようなイベントかはプレイヤーには判断がつかない……言わば、プレイヤー参加型の物語と言ったところか。リーファとレコンにはそのイベント型の経験があるようで、あまり快い表情はしていなかったものの、何か行動を起こすことも今は出来ない、というのが分かっているようだ。
「それより、ショウキさんにリズさん。色々コイツが面倒見てもらってありがとね。……一人でシグルドの部下を追跡しようとするなんて、無茶するんだから」
その後半のセリフは、いつの間にかリーファの隣に座っていたレコンに向けられたもので、言葉の最後にリーファのデコピンの気持ち良い音が響き渡った。
「い、痛いよリーファちゃん……」
「二人がいたから良かったけど、あんた一人じゃどうなってたか分かんないのよ? ちょっと反省しなさい」
いきなり微笑ましい説教が始まったかと思ったが、リーファは少しレコンから顔を背けて、ま、まあ――とさらに言葉を続けていく。どうやら説教の続きではないらしい。
「……あんたの情報のおかげで、私とキリトくんがあそこに間に合った訳だから……ありがとう」
少し苦い表情をしていたレコンがその言葉を聞いた途端、みるみるうちにその顔を明るくしていく。いかに感情表現が少し過剰となるこのVRMMORPGと言えども、その少しばかり異常な喜びようはアインクラッドの二年間の生活でも見たことがない程だった。
「リーファちゃん、ぼ――」
「調子に乗るなっ!」
喜びが身体中に伝播しよからぬ事を始めようとしたレコンに、その行動に先んじてリーファ
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