第六十八話
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ァが俯きながらもコクリと頷いて肯定の意を示した。四本の腕と大剣を巧みに操る三面巨人に対して、クラゲのような形をした巨人は確かに一方的にやられている。ALOのベテランであるリーファとレコンからすれば、このモンスター同士の戦いというのが、この局面では有り得ないことらしいが、まさかそのモンスターを助けることになるとは。
「じゃあ、あのクラゲみたいな奴を助ける方法はあるの?」
「えっと……それは……」
方法さえあれば助けるのはやぶさかではないのか、リズがリーファにその方法を聞こうとするが、本来ならば有り得ない状況に初めて遭遇した彼女にも、その問いに答えることは出来なかった。俺は視線をもう1人のベテランこと、レコンへと視線を向けたものの、彼もまた小さく首を横に振った。助けるために突撃するのが一番の悪手だが、いつまでもここにはいられない――と皆で考えあぐねていると、キリトが突如として大声をあげた。
「リズ! 今、なんて言った!?」
突然キリトが起こしたアクションは、リズにその質問をぶつけること。リズはいきなりされたその質問に戸惑っていたが、キリトの「早く!」という催促で慌ててその質問に答えた。リズが先程言ったことといえば、リーファにあの邪神を助ける方法を聞いたことだ。
「え? そりゃ、あのクラゲみたいな奴を助ける方法は、って……」
「それだ! ユイ、近くに湖か池はあるか?」
……どうやらキリトが何やら思いついたようだ。ユイはキリトから問われたことを忠実に実行し、一瞬の後にその情報収集の結果を伝える。閉じられていた瞼が開くとともに、ユイは俺たちが来た方向に指を差した。
「北に200Mほど行ったところに、氷結した湖が存在します、パパ!」
「その湖なら俺たちが通り過ぎたところだ。なぁ、レコン」
「えっ、あ……う、うん」
ユイの情報に補足して、実際に訪れた俺とスカウト職の――かつ、先程その湖で転んだばかりの――レコンのお墨付きを得たキリトは、その脳内で完全に作戦がたてられたようだ。アインクラッドの時から変わらない……いや、アバターが変わっているから顔は変わっているのだが。とにかく、その本質は変わらないキリトの閃いた顔を信じて、俺は一歩前に出た。
「どうすれば良い、キリト?」
「よし。ショウキ、お前クナイは……持ってるな。それで三面巨人の注意をこっちに向けてくれ」
クラゲ、凍りついた湖、邪神、引き寄せる――これらのキーワードからキリトの作戦を、何となくだが理解する。ポケットの中からクルクルと回しながらクナイを取り出すと、三面巨人の柔らかそうな場所を見つけようとする。こういうことは、目が柔らかいというのが相場が決まっているが、クラゲ邪神と戦っている今、細かく動く目を狙うのは難しいか。
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