第六十八話
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の鉄拳が頭に炸裂し、そのままレコンはクラゲ邪神の背中に倒れ伏した。このクラゲ邪神は背中で暴れられても何も言わず、ただレコンが倒れた衝撃を受け止め、無言でその湖を泳いでいく。
「……はいご馳走さまー。でも、この子はどこに連れてってくれる気なのかしら……」
「それは不安だけど、今はこのゾウムシだかダイオウグソクムシだかに任せるしかないさ。明日の朝飯かも知れないけど、助けたお礼に竜宮城かも知れないぜ?」
若干投げやりなリズの呟きに対し、キリトは流石にこのような状況にも慣れているのか、欠伸をしてクラゲ邪神に寝ころびながら縁起でもないことを言ってのける。そのまま数秒後にスピー……という心地よい寝息が聞こえて来たので、ユイが『寝ちゃダメですパパ!』と耳元で叫んでいた。
「キリト、ダイオウグソクムシって何だ?」
「ん……ああ、みんな知らないか? 深海にいる巨大なダンゴムシみたいな……」
起き上がったキリトが目一杯腕を伸ばして『これくらい』を示すと、パーティーの女性陣から小さい悲鳴と文句が上がる。そもそもキリトは、そんな虫のことをどこから知ったのだろうか……と、少し興味があったものの、女性陣からの文句が怖いので止めておく。
「じゃ、名前つけよ名前! 可愛い奴!」
ダイオウグソクムシのイメージを頭から追い出したいのか、リーファがそんなことを提案する。確かに、ずっとクラゲ邪神では呼びにくいのも確かだが、さていきなり言われようにも思いつかない。……一瞬ダイオウグソクムシという案が頭を通り過ぎたが、それを提案したら、俺は恐らく女性陣に追い出されてしまう。
「キリト、お前が元凶なんだから何かないか?」
男性陣より逞しい女性陣というこの現実に一息つきつつ、元凶ことキリトへの八つ当たりを込めた質問を放つ。うーん……と首を傾げること数秒後、予想に反してキリトは即座に案を出した。
「……トンキー」
「あら、良い名前じゃない」
数多くの武器の名前を見てきたリズがそう関心する程に、キリトの口から漏れたように出て来たその名前は、どこかで聞いたことのある気がする、思いの外良い名前だった。少しダイオウグソクムシを期待していた、俺の期待は裏切られたが。
……はて。どうして俺はこんなに、ダイオウグソクムシのことを考えているのだろう……?
「トンキーって……あんまり縁起の良い名前じゃないけど……」
「まあ、な。何となく頭に浮かんだんだ」
良い加減にダイオウグソクムシのことを頭の中から追い出すと、俺はそのキリトとリーファの会話でトンキーという名前の由来を思いだした。一匹の象に由来する悲劇の話――クラゲと象を併せたようなこの邪神に、確かに縁起の良い名前ではないかもしれないが、リーファはいたく気に入
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