第六十八話
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――結果的に俺たちは、サラマンダーの軍勢がシルフとケットシーの会談を襲うのに、間に合うことはなかった。ただでさえ、会談場の《蝶の谷》から最も離れたレプラコーン領からの出発だった上に、先程の奴らの足止めを喰らった俺たちが間に合うはずはなかった。
ただ、レコンが行った会談場にいたシルフのプレイヤーへの連絡によって、サラマンダー部隊との接敵は遅れた。その隙にキリトとリーファが間に合った――とのことだ。どうやったかは聞いていないが、何とかその戦いを収めたので、近くの町でログアウトをするとのことだ。
レコンの元に届いた、リーファのメッセージとしてキリトからのメッセージでそう聞いた俺たちは、同じくどこかの町でログアウトをすることに決めた。随分長い間ログインしていたことで、三人とも疲れたというのが本音だった。もう何時間連続でログインしているのか、正直数えたくもない。
……まあ、少なくとも二年間に比べれば微々たる時間に過ぎないが。
そこで《蝶の谷》に行くことを断念し、近くの町を探すことにした俺たちは、意外と手間取ることもなく町……というよりは小さい村を発見した。これは運が良い、とその村に入っていき――そして落ちた。
「寒いな……」
今、俺たちがいるのは地底世界……とでも言えば良いのだろうか。先程まで飛翔していた大空はそこにはなく、あるのは一面に広がる氷柱と岩盤のみ。さらには一面に雪が降り積もっている銀世界と、寒いのも納得だった。
「誰よあんな罠仕掛けたの……」
「ハハ……」
愚痴るリズにも普段の力強さはなく、レコンの苦笑にも力はない。レコンが持っていたアイテムで枯れた枝に火をつけ、偶然あったトンネルのような洞穴で、三人で焚き火をして暖を取っていた。バチバチと音をたてて燃え上がる枝を見ながら、これからどうするかを考えることにする。
……結論から言うと、俺たちがログアウトする為に入っていった村は罠だった。その村に入った者を容赦なく大地に引きずり込み、そのまま土の中に閉じ込めて窒息死させる――というえげつない罠かと思えば、大地の底が抜けて俺たちの身体は自由落下していった。クッションのように雪が衝撃を吸収してくれたおかげで、何とかHP全損とまでは行かなかったものの、代わりにこの太陽の光すら届かない世界に招待されることとなった。
その名は《ヨツンヘイム》。妖精などではなく、邪神が闊歩する世界だった。
「……それで、これからどうする?」
まず俺は、この中で唯一この《ヨツンヘイム》というフィールドについて、情報を持っているレコンへと尋ねた。プレイヤー三人程度ではまるで勝てない邪神たちの世界、程度のことは聞いたものの、俺とリズにはまるで何も分からない。
「うん……とりあえず、ここから《世
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