暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
31.研修前夜の訪問者
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たいな表情をしている友妃。
 だが、その表情は一瞬で険しくなる。

「だとしてもあそこでもしも天塚汞と遭遇してたらどうする気だったの。戦闘になってたら一番危険だったのは浅葱ちゃんだよ」

 彼女の言っていることは正論だ。
 赤白の錬金術師が浅葱を狙わないとは限らない。それにあいつを倒すには確実に彩斗も眷獣を使わなければならない。“神意の暁(オリスブラッド)”の眷獣も第四真祖同様に及ぼす被害は絶大だ。

「悪い、俺が甘かった」

 ひどい自己嫌悪を覚えながら、彩斗は項垂れる。

「でも、なにもなくてよかったよ」

 友妃はほっと胸を下ろす。

「それでも学校をさっぼったりするのもダメだからね」

「あ、ああ」

 まるで教師に説教されているような気分だ。いや、教師というよりは母親だな。

「あと明日からボク、彩斗君の監視の任を一時的に外れるからね」

「は?」

 突然の友妃の発言に困惑する。

「那月ちゃんが言ってた夏音ちゃんの護衛ってのがボクなんだ」

 さらに彩斗の困惑する。
 それでも友妃は言葉を続ける。

「四日間ボクがいないからって変な事件に巻き込まれないでよね。特に天塚汞には関わらないでよ」

「お、おう」

 彩斗は表情を引き攣らせながら、ぎこちなくうなずいた。
 おまえは母親か、と突っ込みたいほど友妃は言ってくる。
 たしかに夏音の護衛に友妃がつくというのはこの上ないほど安心できる。彼女が護衛についている間に那月たちが天塚汞の身柄を確保すればこの事件はまるくおさまるのだから。

「あとほかの女の子の血を吸うのもダメだよ」

「吸わねぇよ!」

 友妃はクスッと笑い声を洩らす。

「まぁ、逢崎も護衛の任務のこともあるけど、たまには楽しんでこいよな」

「うん」

 友妃は一瞬戸惑ったような表情の後にいつもの無邪気な笑みを浮かべる。
 すると彩斗のスマートフォンが着信音を奏でる。
 液晶画面には、“藍羽浅葱”の名前が表示されている。




 丘の上へと続く緩い坂道を、夕日が照らしている。
 浅葱は愛用のスマートフォンを耳に当てながら中腰で歩道を進む。

『──浅葱か? どうしたんだ?』

「ちょっと頼みがあるんだけど、もしかして家に着いちゃった?」

『いや、まだ途中だけど』

 浅葱は、コホ、と咳払いする。

「あのさ、古城があたしの誕生日にくれたピアスのこと、覚えてる?」

『あー……あの青い色の安物か』

 浅葱はムッとし、反論しようとしたがそれをグッと呑み込む。

『それがどうしたんだ』

「ごめん。片っぽ落としちゃったみたいなんだ」

 あはははは、と明るい声で浅葱は告白し
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