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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
31.研修前夜の訪問者
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度で彩斗を横薙ぎに襲った。吸血鬼化した反応速度で魔力を纏った右拳で軌道を逸らす。
逸らした先の街灯の支柱が真っ二つに切断されていた。
ただの液体ではないようだ。水銀のような液体金属に、高圧をかけて刃を形成し、自重と遠心力を利用して攻撃力を生んでいるらしい。
「おまえ……叶瀬を誘拐する気か……!?」
彼は夏音をアルディギアの関係者だと知っている。
「誘拐……? どこかに連れていくってことかい?」
しかし男は、あからさまに軽蔑したように笑った。
「それだけの魔力を持ちながら、くだらないことを気にするんだな、吸血鬼! あの子はもうどこにもいけない。ただの供物になってもらおうと思っただけだよ」
「供物……だと」
その瞬間、彩斗は男との距離を一気に詰める。
刹那のことで反応すらできなかった男は彩斗の魔力を纏った拳が顔面を抉りこまれる。
轟音を鳴り響き、男はコンクリートの地面に叩きつけられる。
「もういっぺん言ってみろ。今度はこれぐらいじゃすまねぇぞ」
「これほどの力とは、予想外だったよ」
男はわずかな笑みを浮かべながら立ち上がる。
するとふわり、とスカートを翻して二人の少女が現れる。
「姫柊──!?」
「逢崎──!?」
彩斗と古城は同時に叫んだ。第四真祖と“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の監視役である彼女らが、多分彩斗の魔力に気づいて店を抜け出してきてくれたのだ。
「ご無事ですか、先輩がた?」
「ああ、サンキュ。助かった」
古城が脱力して頼りなく息を吐く。
「彩斗君はなにしてんの!? こんなところで魔力を使って!」
「悪い。頭に血が登った」
夏音を供物にするなどと言われて身体が動かずにはいられなかった。
男の身体は、かなりボロボロになっている。
「先輩……あちらの方は?」
「さあな。真理の探究者とか言ってたが」
雪菜の質問に、古城は投げやりな口調で答えた。
「……探究者……なるほどね」
答えたのは雪菜ではなく友妃だった。
「“
七式降魔突撃槍
(
シュネーヴァルツァー
)
”……そういえば、獅子王機関の剣巫が、第四真祖の監視役に派遣されてきたという噂があったっけ。その刀は見覚えがないが、きみも獅子王機関みたいだね」
気怠そうな口調で言いながら、男はその場に屈んだ。
彼の足元には、切断された街灯の支柱が転がっている。長さ三、四メートルあまりの鉄柱だ。
男の右腕が触れた瞬間、その鉄柱が飴のように溶け崩れた。
誘拐した鉄柱の表面が、濁った鮮血のような黒銀色に変わっていく。
「なんだ……!? あいつの腕が……」
彩斗たちが呆然と見守る前で、鉄柱は
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