暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
31.研修前夜の訪問者
[3/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ごく表情で彩斗を睨んでいる。

「い、今のは……そ、その……」

「彩斗君のバカ……」

 その後、やけ食いのように友妃がガツガツとアイスを食べ終える。

「そうだ、そこ入ろ! そこお店!」

「え!?」

 凪沙が指差した店を見て、彩斗と古城、雪菜がほとんど同時に声を洩らす。ピンクを基調にした可愛らしい店構え。ショーウィンドウに飾られているのは、ゴージャスなランジェリー姿のマネキンだ。どこからどう見ても下着屋である。

「ほらほら、タイムセールやってるみたいだし。やっぱり旅行のときは下着にも気を遣わないとねー。あれなんか雪菜ちゃんに似合いそう。夏音ちゃんも友妃ちゃんも任せて。ばっちりコーディネートしてあげるから。あ、古城君と彩斗君は外で待っててよ!」

「頼まれても中には入らねーよ!」

「はぁー……」

 彩斗は深いため息をつく。
 ためらう雪菜と夏音の手を引いて、凪沙が下着屋に入っていく。
 友妃も渋々ついていく。

「とりあえず、テメェは誰だ」

 彩斗は先ほどからこちらを見ていた男に話しかける。
 純白のマントコートに、赤白チェックのネクタイと帽子。左手には銀色のステッキを握っている。見た目の年齢は二十歳前後だが、それよりもずっと年老いてるようにも、幼くも見える。
 奇術師めいた胡散臭い印象の男だ。

「今の銀髪の彼女、綺麗な子だね」

 男は愉快そうに目を細めて笑う。
 その目は、鮮血のようなおぞましく赤い。

「あんたには関係ないだろ」

 古城もやっと気づき警戒しだす。
 この男から血の臭いがする。

「あんたは誰なんだ?」

 古城が問う。

「僕か。僕は、真理の探究者だよ」

「……は?」

 男の言葉に古城は一瞬唖然とした。
 その直後だった。男の右腕から、蛇のようにのたうつなにかが放たれた。
 金属質の輝きを帯びた、粘性の強い黒銀色の液体だ。それは古城の腕に巻きつこうとする。
 金属と古城の間に魔力を纏わせた右手を横殴りにする。
 強大な魔力の塊が黒銀の液体を弾き飛ばす。

「気抜いてんじゃねぇよ、古城!」

「助かった。サンキュ、彩斗」

 あの黒銀色の金属は普通の代物ではないだろう。

「ふぅん。あれを防ぐのか。さっきから妙な気配がすると思ったら、きみたち、人間じゃないね」

 自分の右手を眺めながら、男が不機嫌そうに目を眇めた。

「未登録の魔族……吸血鬼か。アルディギア王家が寄越したボディーガードってわけでもなさそうだけど、まあいいや。できれば目立たないように殺したかったんだけどね──」

 男が再び右腕を掲げた。
 その指先から、再び黒銀の液体が迸る。それは細く鋭い刃物と化して、凄まじい速
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ