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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
31.研修前夜の訪問者
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た。
『それなら古城に探してもらえよな。あいつのほうが原物がわかるだろ』
電話の向こうでめんどくさそうにあくびをする声が聞こえる。
「いや、それが朝にあんたと公園で揉み合ったときに──」
『はっ!?』
電話口から驚くような彩斗の声が聞こえる。
「今、探してるんだけど、一人じゃ──」
『馬鹿野郎──!』
浅葱の言葉を遮って彩斗の怒鳴り声に驚く。
『今すぐそこから離れろ!』
「はあ! 急にどうしたのよ、あんたは?」
『事情は後で説明してやるからそこから早く離れろ! 修道院の近くはヤバいんだよ!』
本気でうろたえている彩斗の言葉に浅葱は少し戸惑いを覚える。
「別に大丈夫よ。そんなに心配しなくても」
『いいから帰れって! ピアスなら俺が買ってやるし、なんらな古城にもう一回買ってもらえ!』
明らかに勢い任せで行った言葉だが、それを聞き逃す浅葱ではない。
「……ホントに?」
『ああ!』
「ピアスじゃなくてゆ、指輪でもいい? 高いやつじゃなくていいんだけど」
『なんでも買ってやるから!』
早く帰れ、と彩斗が喚き散らす気配を察して、浅葱はスマートフォンを耳から離す。
「はいはい。わかったわかりました。じゃあ、最後に一周したら帰るから」
『すぐ帰れつってんだろうが!』
電話の向こうで息を切らして怒鳴っている彩斗の声が聞こえる。走りながら電話しているのだろう。
はいはい、と浅葱はそれを聞き流す。彼がここまで焦っている理由はわからないが、指輪を買ってもらう約束も取り付けたことだし、ピアス探しを早めに切り上げようとした。
その直後、轟音とともに大地が揺れた。
一瞬、身体が浮いて、浅葱は歩道へと投げ出される。
『浅葱!? なんだ、今の音──!?』
今の音が彩斗にも伝わったのか、かなり慌てているような声で訊いてくる。
しかし浅葱は言葉にできない。
それを説明できる言葉がなかったのだ。
修道院の建物を崩壊させて出現したのは、原生動物のように不定形に蠢く漆黒の流動体だった。生物でもなければ金属でもなく、決まった外観すら存在しない。
「わかん……ない……なによ、こいつ……!? 血、みたいな……水銀みたいな……女の人!?」
浅葱はのろのろと立ち上がる。
その間にも漆黒の流動体は、異音を放ちながら様々な形を変えていく。
その怪物は周囲の物質を無差別に飲み込み融合していく。それは徐々に肥大化していく。
「あれ?」
逃げなければ、と立ち上がった浅葱の耳に、場違いな明るい声が聞こえてくる。
赤と白の目立つ服を着た奇術師風の青年が、坂の上から見下ろしてい
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