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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
31.研修前夜の訪問者
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緒河彩斗は珍しく朝早く目覚めた。
そうはいってもまだ時刻は五時だ。朝というよりは明け方という表現が正しいのかもしれない。
古くからこのような時間を暁、東雲、曙などというが彩斗のダメな頭では使い分けなどできない。
「ふぅ……朝飯の準備でもするか」
ベッドを少しでも振動させないように慎重に起き上がる。
彩斗の隣では銀髪の少女が静かに寝息を立てている。天使を連想させる美貌の持ち主──叶瀬夏音だ。
夏音は寝ていてもその美貌は変わらないのだ。
まあ当たり前のことだがな。
「ホント可愛いよな」
自然と口から声が漏れた。
彩斗の家にはベッド一つしかない。もともと彩斗の家は父親と一緒に住むはずだったが、わけのわからない言葉を残して姿を消したせいで一人暮らしなのでベッドは一つしかいらないのだ。友人が泊まりに来る際でも男の泊りなどオールするというのが定番になっているので布団さえこの家にはないのだ。
そんな状態で十月の終わりに夏音と彩斗は一緒に暮らすことになった。
別に食事も風呂も問題はなかった。しかし寝るときは問題しかなかった。彩斗は夏音にベッドを譲って自分は床かソファーで寝るつもりだった。しかし、夏音は自分が無理やり来たから彩斗が使ってくれというのだ。
新しいベッド買うという選択肢もあったのだが、そんな金が彩斗にはあるわけもなく身元引受人である南宮那月が支給してくれるのは、夏音の服くらいだ。
それで二人で一緒のベッドで寝るという吸血鬼の彩斗には天国なのか地獄なのかわからない生活が始まった。
こんな状況でも慣れてしまうと普通に二人で寝てしまっているのが人間の適応能力には感心する。
「こんなこと逢崎や姫柊にでも知られたら死刑は免れねぇからな」
バレたときのことを想像して血の気が引くのを感じる。
物音を立てないように部屋の隅にかけられていたカッターシャツと学生ズボンを手に自室を後にする。
「ふぅー……もう十一月か」
ソファーに深く腰をかけてよくわからない通販番組が流れているテレビを見ながら考える。
十一月といえば彩海学園中等部の宿泊研修が行われる時期だ。“魔族特区”の学生たちに、一般社会の様子を見学させるという趣旨の旅行行事だ。行き先は有名な観光地でもなく、官庁街や工場などがメイン。
それでもクラスメイトたちと泊りがけで旅行に出かける、というイベントが中学生にとっては楽しみでないわけがない。
つまりは夏音が数日間いなくなるということだ。
「少しさみしくなるな……」
彩斗は呟きながら、ぼんやりとある少女のことを考えた。
第四真祖の監視役をしている中等部の転校生。
絃神島から離れるということは、当然、監視はできない。
(姫柊はどうす
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