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願い事が叶う前に
第1話 プレゼントは願いの破壊!?
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杏舎!」
 私はその原因を怒鳴りつけた。
「はぁいお姉様、なんで……ょ……」
 腹立つ位呑気な杏舎の声が薄れていく。
 対策が無いわけじゃない。私は落ちていく中で必死に頭を巡らせた。
「っと!」
 私は魔法で浮いた。だけど、これは術量消費がかなりのものだから、次の策を練らないと……
「煙突の壁が無理なら……って、え!?」
 上から黒いものが大量に降ってくる。私は突然のことに反応できず、その勢いのなされるがまま落下していった。
 ボスッ
 煙突の底に落ちたけど、大量に敷き詰められた黒いもののおかげで大して痛くない。
「うぇっ、ぺっ」
 口の中にまで入ってきた黒いものを外へ払う。この粉っぽい感じと、多分杏舎のせいだということからすると、 
「んな美学いるか!」
 私は丸い空に向かって叫んだ。
「おい、誰か落ちたぞ」
 光がある方から、声変わりしたての少年の声がした。
 そちらを見ると、私より2,3才位年下に見える中学生位の少年が4人、じっと私を見つめていた。
「ここに落ちたか……。残念だが、我らのアジトに侵入した以上は、消えてもらう」
 これは……何か言い訳すれば抜けられそうな気がしてきた。
「……私は、限界邪制に入りたくてここに来ました」
「なんだと?」
 彼らの中で中くらいの体格の少年がずいと歩み寄ってきた。
「はい。あなた達の力を見た時、なんて素晴らしいんだろうと感動しました」
 私はゆっくり暖炉から出ながらはっきりを心がけてアピールした。
「ほう…、だが、俺達の秘密を知るということは、今後のお前の人生すべてを俺達に掌握させるってことになるが、それでもいいか?」
 彼は期待の眼差しで私を見た。
「はい、構いま……」
 ドサササササササ
 背後から何かが大量に降るような音がして振り返ると、黒い粉が一斉に降りかかってきた。
「っ!」
 急いで目を瞑って口を塞ぐ。
「あいつ……強引に突き落とすか普通?」
 黒煙の中から、聞き慣れた冷たい声。
「……随分、派手な登場ね」
「文句なら演出担当に言ってくれ」
 居木実は渋い顔をして体の煤(多分)を払った。
「誰だお前?ここに立ち入るならいかなる事情があっても死を覚悟してもらうぞ」
 さっきのボスっぽい少年が居木実を睨む。
「人を殺そうとするなら、どんな目に遭っても文句は言えないな」
 居木実は口元に小さく笑みを作った。
「……漆音(シトン)、こいつらを叩きのめしていいそうだ」
 私に向かって話しかけないで!
「なんだ?お前ら、知り合いか?」
 馬鹿!
「えええっと、誰かと見間違えたんじゃあ」
「暖炉で頭打っておかしくなったか?お前は漆音だろ?」
 あぁもう大馬鹿!変なとこで食い下がるな!
「くそっ!貴様らスパイか!」

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