マクロスF
0718話
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「明日ガリア4に行くんだって?」
オズマからその話を聞いてから、数日。珍しくアルトが俺を格闘訓練に誘ってきたと思えば、道場で向かい合いながらそう尋ねてくる。
言葉で俺を動揺させようと……いや、ないな。その程度でどうにかなる実力差じゃないし、何よりも身体能力からして違い過ぎるのだから。
そもそも、大前提として動揺する要素そのものが無い。
こちらへと向け、すり足でジリジリと近付いてくるアルト。歌舞伎をやっていたせいか、地味にこういうところが上手いんだよな。
「そうだな。それがどうかしたのか?」
「いや、出来れば俺が行ってみたかったと思ってな。正直、ガリア4に行けるアクセルが羨ましいよ」
「羨ましい?」
今の口調から言えば、普通の奴にしてみれば憤死する程に羨ましいシェリルと行動を共にするといった理由でないのは明らかだろう。そもそも、アルトはランカと上手くいっているらしいしな。ルカ経由で得た情報によると、誕生日プレゼントとしてファーストライブのアリーナ席のチケットを送る予定になっているんだとか何とか。
「何が羨ましいんだ? まさか、噂の海兵隊に会ってみたいって訳じゃないんだろ?」
「そりゃ当然……だろっ!」
畳を蹴って、一気に俺の間合いへと入り込もうとするアルト。奥襟を掴もうと伸ばされた手を、なるべく力を抜いて弾く。
さすがに本気で弾いたりしたら、良くて骨折、最悪腕が吹き飛ばされるだろうし。
「ぐっ! くそっ、毎回思うけど、どんな怪力してやがるんだよ! ゴリラか!?」
そんな一撃でも、やはりアルトにとっては思わず苦痛の声を漏らしてしまう程の痛みだったのだろう。
「悪いな、一応これでも手加減はしてるんだが。で、何が羨ましいって? ガリア4に行く理由に関しても知ってるんだろ?」
「ああ。けど、ガリア4は惑星だから大気がある。……つまりは空がある。どこまでも続く蒼穹がな。そこを飛べるってだけで俺にしてみれば羨ましい事この上無いさ」
「……なるほど。まぁ、らしいと言えばらしい答えだな」
手を振りつつも、間合いを計るアルト。
その様子を眺めつつ、意図的に隙を作り出す。
「うおおおおおおっ!」
その隙に釣られたかのように、殆ど反射的な動きで飛び込んできたアルトの腕を掴み、その勢いを利用して一本背負いの要領で畳へと叩きつける。
勿論ダメージを与えるのが目的ではないので、叩きつける寸前に道着を引っ張って衝撃を最大限殺してだが。
恐らくアルトは、投げられたのはいいものの殆ど衝撃を感じなかっただろう。
「相手に隙を見つけたのに決断力が無いせいで迷って攻撃に行けないというのも軍人としてどうかと思うが、隙を見つけた瞬間にホイホイと食い付いてくるのもどうかと思うぞ」
「
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