第百八十五話 第6次イゼルローン要塞攻防戦 前哨戦3
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で通信が繋がれると、血色の悪い青白い顔の病的な男がスクリーンに映った。
『自由惑星同盟軍宇宙艦隊参謀アンドリュー・フォーク中佐です』
「銀河帝国軍宇宙艦隊所属ラインハルト・フォン・シェーンバルト少将」
お互いに挨拶をすると、フォークが喋り始める。
「シェーンバルト提督、貴官の艦隊は我が軍の完全包囲下にあります。このままでは全滅を待つだけです」
「それで我々にどうしろと言いたいのか?」
ラインハルトの落ち着いた表情に些か気分を損ねたのか、フォークは目尻に皺を作りながら答える。
「貴官に降伏を勧告します」
ラインハルトにしてみれば、此処で巫山戯るなと罵倒したいが、既に旗下の戦力は七割近くを失い残りの半数も既に戦闘不能に陥っている。
キルヒアイスを見れば、震えているように見える。そして将兵が縋るような視線で自分を見ているのである。
ラインハルトの頭には姉のことが過り心の中で詫びた“姉上、済みません、今度は戻れません……”と。
ホンの一瞬の時間で有ったが、何年も経ったかのように感じ、踵を只して返答する。
「フォーク中佐、貴官の勧告に従い、降伏勧告を受諾する」
「諒解した。貴官と艦隊の降伏を認めます。直ちに全艦の機関を停止してください」
ニヤリと笑いながら言うフォークに苛立ちを隠せないが、俺はこの男に負けたのかという悔しさで心が痛んだ。
宇宙暦795年 帝国暦486年1月30日
■イゼルローン回廊 自由惑星同盟軍 第7艦隊ワーツ分艦隊旗艦ベロボーグ
敵艦隊を包囲した第7艦隊では歓声が上がっていた。そんな中、ヤンは策を提案してからの忙しい日々を思い出していた。
やれやれ、これで皇帝に多大なる影響を与えているグリューネワルト伯爵夫人が猫可愛がりしているという実弟を捕縛できそうだな。
向こうさんも、まさか此方が中央に無人艦を置いて光ファイバーによる遠隔操作により態々中央突破させたとは思わなかっただろうからね。まあこの数か月は給料分以上の仕事をしてきたから、これで少しは和平に近づいてくれればいいんだが、捕虜交換後の奇襲じゃ向こうさんの印象は最悪だろうし、熟々ロボス元帥の考えが浅はかすぎだ。
まあなんとかグリューネワルト伯爵夫人から弟の為に和平をと言わせればそれも何とか出来るのだろうけど、後はどうなるかだが、其処まで考える程給料は貰っていないし……」
ヤン・ウェンリーが示した策とは、敵の行動パターンが、あらゆる戦術パターンの実践教育である点を鑑み、今回の行動が中央突破背面転回戦法である事を予測し、ラインハルト艦隊の出現ポイントまで加味した2万隻近い艦艇による包囲殲滅戦を企画した物で有った。
まずこれまでの戦闘で大破した艦艇から廃棄寸前の艦艇1000隻ほ
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