第百八十五話 第6次イゼルローン要塞攻防戦 前哨戦3
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ふためきながらボコボコにボコられる中央集団とそれと全く連携が取れない左右の艦船との間に大きな裂け目ができて行っていた。
「どうやら勝ったな」
ラインハルトの独り言に答えるかのように、オペレーターが喜色が判る声で戦況を伝える。
「敵、更に後退、敵後退の速度を速めています」
戦術コンピューターが映し出す戦場画像を見ながらニヤリと笑っていたラインハルトの顔に疑惑の層が見え始める。
「なに!」
オペレーターの驚愕の声が艦橋に響いた。
「敵が左右に分かれました!こ、これはなんと、我が軍の両翼を高速で逆進していきます!」
その瞬間戦術コンピューター画面上の敵艦隊が中央で爆砕されている1000隻ほどの司令部集団を見捨てるかのようにラインハルト艦隊の左右に分かれ全速前進していったのである。
「キルヒアイス!」
驚愕のどよめきの中で、ラインハルトは赤毛の参謀長を呼んだ。
「してやられた……敵は両手に分かれて我が軍の後背にまわる気だ。中央突破戦法を逆手に取られてしまった……畜生!」
ラインハルトは椅子の肘掛けに拳を叩きつけた。
「どうなさいます?反転迎撃なさいますか?」
「冗談ではない。俺に今までの叛乱軍司令官の様に低脳になれと言うのか」
「では前進なさるしか有りませんね」
「その通りだ」
ラインハルトも頷き、通信士官に命令した。
「全艦隊、全速前進!逆進する敵の後背に喰らいつけ。方向は右だ、急げ!」
ラインハルトの艦隊は命令に従い右舷回頭をし始めるが刹那前方から多数の光点が現れる。
「前方3時方向に敵艦隊!数凡そ5000!」
先ほどと同数の敵に艦橋ではざわめきが高まる。
「してやられた!敵にはめられた!」
「ラインハルト様、如何為さいますか?」
二人が話し合おうとする中で、オペレーターの悲鳴が上がる。
「6時の方向より先ほどの敵艦隊、後方にて集結追撃してきます!」
「10時の方向より更に5000隻ほどの艦隊来ます!」
オペレーターの悲鳴を聞きながらラインハルトはキルヒアイスに苦悶の表情で語る。
「敵は最初から包囲殲滅するつもりで罠をはっていたとは、してやられた!」
「ラインハルト様……」
ラインハルトは生まれてから初めてと言えるほどの焦りを感じていた。今まで散々馬鹿にしてきた敵の中に自分の行動を読む恐ろしい敵がいることを知って。
「どこもかしこも敵だらけだ!」
「もうお仕舞いだ!」
艦橋要員も動揺し泣き言を言う者も出る始末。
「狼狽える必要など無い、敵が三方向から来るのであれば、天頂方向へ急速離脱せよ」
その言葉に一縷の光明を見た艦橋では移動を開始しようとするが、それをあざ笑うかのようにレーダーに光点が映り始める。
「天頂方向及び天底方向より敵艦
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