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Ball Driver
第四十三話 主役になる時
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ズッこけた。
そして苦笑した。

「もっとこう……あるだろう……ワクワクしたとかさぁ……よりにもよって私の顔かぁ……」
「仕方がないですよ、実際可愛かったんですから」
「…………ばか」

紗理奈はそっぽを向いたが、その顔には照れたような笑顔があった。



ーーーーーーーーーーーーーーー



「文化祭も終わっちゃいましたし、次はいよいよ秋の大会ですねぇ……」
「そうだなぁ。……今年の文化祭はマジで劇しかやってないけど」

文化祭終了後、校庭で行われるキャンプファイヤーを囲んでの後夜祭にジャガーと権城は来ていた。公演終了後、権城は疲れがどっと吹き出して、後夜祭までずっと部室で寝ていた。ジャガーに起こされて、眠い目を擦りながらやってきたのがこの後夜祭。カップルは火を囲んでダンスなどしていたりするが、権城にそんな体力はなく、ベンチに腰掛けて打ち上がる花火を2人して眺めていた。

「権城さん、思ったより出来てましたよ。まぁ、野球では自信たっぷりなのに、劇ではあんなに初々しいだなんて……クスクス」
「……それ、褒めてねぇだろ」
「褒めてますよ〜。とても可愛かったですからね〜。紗理奈部長に翻弄されてましたし、ウフフ」

ジャガーは楽しそうに笑う。いつも穏やかで大人びているが、この時ばかりは少し無邪気だった。

「……秋の大会かぁ。最近ちょっと文化祭で身が入らなかったから、どうなるだろ」
「しっかり頼みますよ〜キャプテン。甲子園に行くんでしょう?」
「……ま、既にシナリオはあるよ。南十字学園が主役の物語が。」

権城が不敵に笑う。ジャガーはその顔を頼もしく思った。

「あ、権城先輩にジャガー先輩!」
「先輩方も来ていらしたのですか」
「最近ずっと一緒ですよね!良いカップルです!」

拓人、姿、和子が手を振りながらやってくる。権城はいたずらっぽく和子の言葉を否定する。

「何がカップルだよ!……恋女房に決まってるだろう!」
「キャッチャーだけに、ですね」

ジャガーはクスクスと笑った。






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