その力は手の中に
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いんです。だからずっとあなたに反撃出来ずにいました。だけど……今からは反撃出来るんです」
「?どういう……」
ココロが最後まで言う事は不可能だった。
ポワソンの右手が向けられ、そこから“何か”が放たれたから。
そしてそれが何かをココロは知っていたし、気づいていた。
「まさかっ……」
「そう、私の魔法は“相手の魔法を奪う魔法”。そして既に――――私は貴女の魔法を奪った」
ココロの目が見開かれる。
目の前の少女は、確かにこう言った―――――貴女の魔法を奪った、と。
「奪った…?私の、魔法を?」
「ええ」
こくりと頷く。
じわじわと、ココロの中に何かが押し寄せる。
この時の彼女は気づいていなかったが、押し寄せてきたのは絶望。
(奪われた……?私の魔法が?)
それは、彼女にとっては大きな意味を持っていた。
信じたくなかった。認めたくなかった。
だって、あの魔法は――――――――。
「あの魔法は……私とグラウアッシュの……!」
無意識のうちに言葉が零れていた。
育ての親の行方が解らないココロにとって、自分の記憶と魔法は大事なモノだった。
灰竜グラウアッシュと過ごした日々は、化猫の宿の皆と暮らした日々と同じくらい大事なモノであり、魔法はグラウアッシュから教わったココロの誇りだったのに。
「凄いですね、滅竜魔法って!力が漲って溢れそうです!」
「返してっ!それは…私とグラウアッシュの大事な思い出なんです!」
「無理ですよ」
目に涙を浮かべ叫ぶココロの意志を折るように、ポワソンは言った。
目を見開き固まるココロに、微笑みを浮かべポワソンは告げる。
「私の魔法は奪う事は出来ても返す事は出来ないんです。残念でしたね」
竜殺しを持つココロと、攻撃系魔法を使えないポワソン。
その立ち位置が、一瞬にして逆転した。
ポワソンは竜殺しを得て、ココロは一瞬にして無力になる。
「そんな……」
震える声で呟いたココロの頬を、一筋の涙が伝う。
誇りである魔法を奪われたココロに、勝つ術はなかった。
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