その力は手の中に
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だ。
何も知らないのに、その時の状況だけを見て可哀想だと言う。
アランはそれを何よりも嫌っていた。自分の事を何も知らない人に同情されるほど、可哀想になった覚えはなかったから。
滅神魔法は神殺しの魔法。
それを知る者の中には、こんな者達もいた。
一般的に世界の全てを支配しているとされるのは、神。
その神を殺せれば、自分が支配者になれるのではないか?
そうなれば、自分の思い通りに世界を動かせるのではないか?
その人達がいつどこでアランの魔法を知ったのかは解らない。
だけど、その人達が自分勝手にアランの力を使わせようとしたのは確かで、それでアランが見えない深い傷を負ったのも確かだった。
きっと彼等はアランの傷なんてどうでもよかったのだろう。
それが何より憎たらしかった。
だからこそ、アランは自分の力を求める者を全て返り討ちにしてきた。
神殺しでありながら神を殺せないと知った時、激怒する者は少なくなかった。
その度に役立たずだと罵られ、殺されかかってきた。
そんな彼等に対し、アランは静かに力を振るう事で黙らせる。
「お前達が振るわせようとしていた力はこれ程のモノだ」と思い知らせる為に。
「頼むから放っておいてくれ」と、自分の意思を伝える為に。
「魔神の怒号!」
黒い光の怒号が空気を裂くように放たれる。
それをキャトルとジェメリィは回避すると、魔法陣を展開させた。
「幻術狼群!」
「魔神の西風!」
オレンジ色の狼の群れを、黒い光の旋風が吹き飛ばす。
小さく舌打ちしたキャトルは魔法籠手に威力増幅の魔法をかけると、アランに向かって駆け出した。
それを視界に入れたアランも駆け出し、右腕に黒い光を纏う。
「星光の――――――」
「させませんよっ!」
「うぐっ!」
籠手に金色の光が集まるのを阻止するように、アランの一撃がキャトルの横腹に炸裂する。
表情を歪めたキャトルの横を駆け動きを止めたアランは、右腕を横に真っ直ぐ伸ばし、指を鳴らした。
「魔神の十戒!」
「あああああああああっ!」
脇腹の傷が黒く輝き、キャトルの腕や脚の一部が同じように光る。
その瞬間、そこから血が噴き出し、キャトルはドサリと倒れ込んだ。
倒れたキャトルを目を見開いて見つめたジェメリィは、右手に魔力を集中させる。
「さすが失われた魔法ってトコかな!幻術弾丸!」
オレンジ色の弾丸が、迷う事無くアランを狙って放たれる。
アランは両手を合わせると、その先をジェメリ
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