その力は手の中に
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直接響くような声。
冷や汗が流れ、上手く呼吸が出来なくなる。
―――貴女のせいで人が死んだ―――
―――両親も、師匠も、皆貴女に近づいたから―――
―――殺される―――
―――お前は巫女じゃない。死神だ―――
―――皆死ぬ―――
―――貴女のギルドの人達も、近所の人や関わりを持った人、弟や兄も幼馴染も、皆!―――
聞こえる。
聞こえてしまう。
扉の外の声が全て、すぐ隣で話しているかのようにハッキリと。
侍女や料理人、庭師の嘲りと憎悪の声が。
どれだけ避けようとしても、全て耳へと飛び込んでくる。
「あ…ああ……」
小さい声が零れる。
体が震え、全身が一気に冷える。
呼吸が更に苦しくなり、顔から血の気が引く。
両手を耳に当て全てをシャットアウトしようとするが、声はそれをスルリと抜ける。
―――消えろ―――
―――失せろ―――
―――何故周りが死んでいくのにお前は生きている?―――
―――人を不幸にしている事に何故気づかない?―――
―――邪魔だ。その存在の全てが―――
ぎゅっと唇を噛みしめる。
呪詛のような声が早く消える事を必死に願いながら、思う。
(誰でもいい……お願い…助けて……私を…ここから出して……!)
今はただ、何かに縋りたかった。
縋れるのなら、何でもよかった。
今は、ただ。
この呪詛全てを否定してくれる事を、願っていた。
聞こえる言葉全てが否定される事を、願っていた。
滅神魔法。
それは滅竜魔法よりも強力な、神殺しの魔法。
使い手は滅神魔導士と呼ばれ、強力な力を得る。
「魔神の天誅!」
黒い光を纏ったアランの一撃が、キャトルとジェメリィに炸裂した。
ナツの“火竜の煌炎”を真似た一撃が床にヒビを入れる。
「魔法籠手・威力増幅!」
「幻術剣舞!」
「魔神の西風!」
床を蹴り向かってくるキャトルの背後から、ジェメリィが放つオレンジ色の剣が飛ぶ。
その数に一瞬表情を歪めたアランは右手に魔力を集中させると、ボールを投げつけるような動作で2人に手を向けた。
展開した魔法陣から黒い光の旋風が吹き荒れ、剣を吹き飛ばす。
吹き飛ばされた剣は全て壁に突き刺さり、消えた。
「金牛宮の拳!」
「おっ……と!」
キャトルの拳を避け、着地する。
かなりの怪我を負っているはずだが、その動きは軽そうに見えた。
が、当然傷は痛むようで、時折表情を歪めている。
「まさか……まさかキミが、その魔法を
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