志乃「兄貴、〇〇〇だしな」
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ォ!?なんてもんスプレーに仕込んでやがるんだこいつ!つか、マジでやってくるとは思わなかった……!
「兄貴には死んでほしくないから、このぐらいにしとく。じゃあ、お休み」
そう言って俺を引きづって廊下に放り出し、ドアを静かに閉める。そして、そこには俺の呻きと本来の夜らしい静けさだけが残っていた。
*****
次の日。俺は肌がヒリヒリし目がジンジンするのを我慢して、志乃の部屋に向かった。志乃が「眠れた?」といやらしい笑みを浮かべながら言うので、俺は「グッスリな」と嫌味たらしく言っておいた。
午前中に志乃のピアノの録音を終え、午後にカラオケに行き俺の声の録音をする。まぁ、その間には動画のための編集の時間が加わるので、もし上手くいかないようなら、声は明日になるかもしれない。
俺は機材の準備をする。志乃も手伝うと言ったのだが、パソコンのパスワードを打ち込んでもらい、後はピアノ慣らしをしてもらった。この前一度機材のセットをしたので、やり方は覚えている。
マイクなどのボーカル用の機具は抜きにするので、準備はすぐに終わった。後は志乃に軽く練習してもらい、余裕を持って録音をやりたい。
だが、志乃は準備が終わって三分ぐらいしてから「もうOK」と声を掛けてきた。
「え、早くね」
「大丈夫。それに、私が満足しなかったら何度もやり直すから」
まぁ、志乃とて最初から出来作が仕上がるとは思ってないんだろう。俺は一発で行けると思ってんだけど。まぁ、素人の俺が言っても説得力は無いな。
そう思いながら、録音の準備を始める。
志乃のパソコンにダウンロードされた編集ソフトを立ち上げ、説明書やネットを見て設定をしていく。全てが英語で書かれており、ぶっちゃけ理解出来ないのだが、とにかく録音出来る状態にまで持っていくのが最重要だ。オーディオトラックを用意し、録音対象を決め、入力、出力装置をUSBに変更する。これ、プロの人って全部分かってやってんのかよ。やべえ。
続いてオーディオインターフェイスにUSBケーブルを各位置に差し込む。パソコンに続くケーブルとピアノに付けられたUSB差込口に続くケーブル。それらは自然と三角の幾何学模様を生み出し、室内の雰囲気から乖離していた。
そして、オーディオインターフェイスの電源を入れ、レベルメーターで音を調節する。後は録音のボタンを押せばピアノの音が録れるというわけだ。
「準備出来たぞ」
「じゃあ、始める。私の合図でボタン押して」
「分かった」
志乃はすぐさま点呼を始めた。「三、二……」という声に、ボタンを押す指に力が入る。
そして最後、「ゼロ」という言葉を聞いて、俺はすぐボタンを押す。それから一秒程の空きを経て、志
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