暁 〜小説投稿サイト〜
相棒は妹
志乃「兄貴、〇〇〇だしな」
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え、自室に籠もって何かしてる。特に気になるわけでもないので追及はしないが。

 実際、俺も似たようなもんなんだよね。めんどい時は制服きたまま寝っ転がってるけど、ほとんどはジャージに着替えて部屋でパソコンをやっている。余談になるが、ジャージはまだ現役だ。ただ外で着るのは半ばトラウマになっている。あれは不可抗力という奴だったのは確かだけど、それでも俺の中に黒い楔が打ち付けられたのは間違いなかった。

 部屋に戻り、今日は本が読みたい気分だったので、志乃のより小さめの本棚から小説を取り出す。俺が好きな作家さんのシリーズ本だ。

 一冊を持ってベッドに向かい、仰向けになりながら本を読み始める。窓から差し込むオレンジ色の夕焼けがライトとなり、細かい文字を読みやすくしてくれている。だが、太陽は自転して西の空へと下っていくので、俺がキリの良い所で本を閉じた時には、部屋全体が薄暗くなっていた。どうやら相当読み耽っていたらしい。

 やがて風呂が開いた事が告げられ、風呂を出た後に夜飯を腹に放り込む。また部屋に戻って、さっきの本の続きを進めた。

 俺は内容や言葉を噛みしめながら読む人間なので、読むのはけっこう遅い。区切りが良いと思った所に栞を挟み、時計を見てみると、二二時を回っていた。明日志乃と録音するというのに、夜更かしするわけにはいかないだろう。

 そう考えた時、俺はふと、今日志乃と明日の件について話していない事を思い出した。いや、別に前日だから何か特別な事をしなきゃいけないってわけじゃないのだが、何か落ち着かない。俗にいうミーティングって奴だ。

 俺は自室を出て志乃の部屋へ向かった。あいつは、俺が部屋に入るのを拒んでいるわけじゃない。なら、ノックさえすれば入ってもいい筈だ。ノックは重要事項だ。それを、俺の部屋を自分の部屋だと勘違いしてやがる家族の皆様から教えてもらっている。奴らは一向に直そうとしないがな。

 俺の部屋の二つ隣にある志乃の部屋の前に着き、静かにドアを叩く。どこか緊張している俺の心を抑え、声が上ずらないようにドアの向こうに話しかける。

 「志乃、俺だけど。明日の事で話したい事があるから、入っていい?」

 話したい事というのは、たった今浮かんだものだ。単に『ピアノの録音方法』について聞きたいという、簡単な内容だ。後は、何かあるかな。ああ、カラオケまでにどうやって機材を持ち運ぶかについても話すか。志乃は「そんなの明日にでも決めれば良い」って言いそうだけどな。

 それにしても、志乃が応答してくれない。あれ、もしかして寝ちゃったのか?いや、あいつは基本二三時以降に寝ていると予想している。何故なら、その時間帯からピアノの鍵盤を叩く音が聞こえてくるからだ。明日が本番だろうと、あいつの性格的に生活リズムを一日だけ壊す
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