竜の咆哮
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いない……というのが救いか」
竜の喉元、ちょうどソニック・リープが直撃したところにある一枚の鱗に大きめの皹が入っている。
これはソニック・リープの威力の低さを歎くべきなのか、それともソニック・リープ程度で皹が入るユウキの変化した剣の攻撃力の高さを褒めればいいのか……わからないな。
「これ、詠唱しようとしたら突っ込んでくるよね。いつでも動けるように足に力入ってるみたいだし」
「だろうな。……正直、最初の接触で決めるつもりだったんだが……」
線での攻撃ならば、そう思うが、竜の攻撃はほぼすべてが面での攻撃。つまり、受け流しがしにくくいつもの戦い方ができない。
「何とか貫けないの?リンって確かそういう系統の武術を使えたよね?」
「……無理だな。さっきの接触した感じではあの鎧の下に厚い脂肪の層かなにかのクッションがある。衝撃を透しても減衰されて本命の内臓への衝撃は通らない」
身体が大きくなった分、皮下脂肪も筋肉も桁外れに厚い。
それでいて鱗は硬く、斬撃も通らないとなれば半ば絶望でしかないのだが。
「ど、どうするの?」
多少焦燥感の混じった声をユウキが発するが、俺は竜から目を離さない。
「鱗を砕いて、そこから喉を潰す。それしかないだろう」
言うのは易いが、実際に実行するには難い。今度は竜も自らを傷つけた相手に慢心することはないだろう。
相手の攻撃は即死級。こちらの攻撃は全力で撃っても軽傷級。割に合わないことこのうえない。
「……とりあえず、ボクが剣になるための時間を稼がないとダメだろうけど……どうするの?」
「俺が突っ込む。その隙に剣になってくれ。二本ではなく、片手剣一本で構わない。地面に刺さった状態で頼む」
「え……双剣じゃないの!?う、うん……わかった」
さっきと同じ様に二本の片手剣になろうと思ってたのか、驚きの声をあげるユウキに軽く頷く。
ユウキは戸惑ってはいたものの、最終的には同意した。理由を説明しなくとも、信頼してくれるのはありがたい。
「じゃあ……行くぞ」
そう言うと同時に地面を蹴り、即座に距離を詰めて竜に肉薄する。
さすがに準備をしていただけあり、竜もしっかりと反応した。
太い右足を上げてのスタンピング。俺の動きから進路を予測し、ちょうどかわせないような距離、スピードで放たれたそれを横に跳ぶことで回避した。
攻撃するつもりだったのならば、当たっていただろうが、生憎と俺の目的は時間稼ぎ。正面からの特攻に対する対処方法は噛み付きかスタンピング、頭突き、ブレス(撃てるかは不明)くらい。攻撃部位は足か頭。集中して観察していれば、次の行動を読むことは容易い。……回避はギリギリだったのだが。
横に跳び、地面についた手を曲
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