竜の咆哮
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外の光……といっても太陽光のような暖かさはなく、どちらかと言えば蛍光灯の明かりのような寒々とした明かりで、機能美という言葉を思い起こさせる。
そんな光に照らされて白銀の燐光のような輝きを映し出す竜がその空間の中央に鎮座していた。
形は地をはいつくばったその姿は俗に言う地竜というやつで、地上に適した様相をしている。だが、竜として予想される強さから齎される威圧感は空を飛ぶ竜と較べて、なんら遜色ない。
その竜は人の気配を感じとったのか、閉じていたその爬虫類独特の切れ長の目を開き、こちらを睥睨した。
そして……閉鎖された空間で増幅反響されたのも相まって、鼓膜が破れるかと思うほどの声量で咆哮する。
「……五月蝿いな」
「あはは……人型じゃなくてよかったかも……でも五月蝿いね……」
剣とはいえ、聴覚はあるからな。……鼓膜はないから常識の範囲内で収まるのだろうが。
数秒続いた咆哮。それに期待された反応を見せなかったからか、竜は驚いたように目を見開いた。
圧倒的な強者であろうと推察できる竜にとって、自身が吠えてその程度の反応しか示さなかった存在など、数えるほどしかあるまい。それが自身よりも比べものにならないくらい小さなイウムであれば尚更のことだ。
油断とも取れるその行動。圧倒的強者であるからこそ薄れてしまった野生の勘。その二つが合わさり、致命的な隙を生み出してしまう。
巨体は確かに強力な武器だ。ただの移動だけでも致命的な攻撃となりえるのだから。
だが、その巨体は多くの死角を生むのだ。
できた隙を利用し、瞬歩で竜の意識外へ抜ける。そして死角である懐に跳び込み、竜の意識が追いつく前に生物共通の弱点である喉元に向かってソードスキルを二連で放つ。
システム外スキル【シンフォニー】による突撃系剣技【ソニック・リープ】二連。
竜に切り付けて、一気に走り抜けて着地した俺は咄嗟に剣をクロスして横から飛んできた巨大な尻尾を受け止めた。
「ぐっ……」
苦し紛れの一発にしてはそれは重く、後ろに跳んで精一杯衝撃を殺してもなお、凄まじい痺れに身体中を襲われた。
先に攻撃した際に、その衝撃で痺れていた手では、もうすでに剣を保持するための握力はなく、衝撃に合わせて宙を舞う。それが俺の身体に走るはずだった衝撃を多少和らげたのは何と言う皮肉だろうか。
「……ソードスキルを重ねて……体重をすべて載せても抜けないなんて硬い鱗だな、本当に」
悪態を付きながらもバックステップで距離を取り、飛ばされた際に人型に戻っていたユウキと並んで竜の様子を見る。
竜は俺を油断ならない相手だと認めたらしく、低い唸り声をあげながらこちらの一挙手一投足を観察していた。
「……だが、丸っきり効いて
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