14話 『黒髪の女賢者』
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から目ェ黒いみてーだけどよ……見えてンのか?」
おもむろに瞳を開いたマゥスンを下から覗き見るように、いつの間にか間近に迫っていたランクのサファイア色の瞳とツンツンした茶髪のはみ出た黄緑のバンダナをしている、まだどこか悪ガキっぽい顔立ちの心配そうな表情を前にしてマゥスンは、ふと視線を逸らす。
「 ────見えている、問題ない」
「そーか、ならいいけどよッ」
目を逸らされてほんの一瞬気を悪くしたが、一安心して身を引くランク。
「これで心置きなく話せるわね。……まず云っておきたいのは、バンパイアが倒されても大地の腐敗は止まっていないという事────
その証拠に、黒魔道士の子が内に持っているクリスタルの欠片の輝き………戻っていないんでしょう?」
「は、ハイっ。これ、でス……っ」
指摘されてビルはおずおずと片手の中にくすんだままの土のクリスタルの欠片を出現させ、それを見たシファは分かっていたようにさほど驚かない。
「やっぱり……。じゃあ、土のカオスは何処に?」
「何か気付かなかったかしら、バンパイアが巣食っていた場所で ──── 」
「そ、そういえば奥の隅の方に四角い石版のような物が置かれていた気がしまス……。マゥスンさんの事もあって、調べる余裕がなかったんでスけど」
「大体あの場所で行き止まりだったじゃねェか、あの石版に何の意味があるンだ?」
「アースの洞窟最深部、土の源のクリスタルへと続く閉ざされた道────バンパイアは、土のカオスの配下に過ぎなかったという事ね」
「石版が道を閉ざしてるなら、それを壊せばいいのかな……?」
「あら、白魔道士の子にしては野蛮ね。ただ壊せば済むというのではないわ。……あれは土のカオスが源のクリスタルへの道筋を封じた負の石版────触れただけで、あらゆる物が腐るわよ」
「そ、それじゃどうスれば……っ。その封印を解かないと、土のクリスタルの祭壇に辿り着けないんでスよね?」
ビルにしては珍しく、積極的に女賢者から話を聞き出そうとする。
「そうね………だからこれが必要になるの、清らかな大地と緑の力を宿す[大地の杖]」
彼女がローブの懐から取り出したのは、幾本もの枝と緑の蔓が絡まって出来たような杖だった。
「これを石版に小突くなりすれば道は開ける筈────この杖は、黒魔道士の子に預けるわね」
「ふあ、ハイっ。ありがとうございまス、でス……」
恐縮しながら受け取るビル。
「何でも"お見通し"ってヤツかよ。……アンタら12賢者が光の戦士やってりゃいーンじゃねェの?」
皮肉るランクに、女賢者エネラは大して気にとめない口調で答える。
「勘違いするのは勝手だけれど、光の戦士はあくまで貴方達──
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