第七章
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はしない」
彼等は口々に言う。そのうえでまたカサンドラに顔を向けて言うのだった。
「姫様、何があろうとも御安心下さい」
「トロイアの城壁は難攻不落です」
「しかも神々の御守護があります」
それも事実だった。彼等に味方する神々も多い。しかしカサンドラはそれも言うのだった。
「馬です」
「馬!?」
「馬でこのトロイアの城壁を!?」
「まさか」
やはり彼等は信じない。
「馬で城を攻めるなぞ」
「まず無理です」
あくまで常識で考える彼等だった。彼等も馬に乗りやって来て戦うスキタイの者達は知っていた。しかしそれでも彼等が城を攻めることができないというのだ。
「あれは平地で使うものです」
「どうして城に?」
「贈り物・・・・・・」
カサンドラは今度はこう呟いた。
「贈り物の中に。彼等がいて」
「贈り物の中に馬が?」
「まさか」
「いえ。木馬です」
次に出た言葉は木馬だった。
「トロイアに贈る巨大な木馬の中に。ギリシアの者達がいて」
「何かよくわからないな」
「巨大な木馬!?」
「何だそれは」
やはり首を傾げる彼等だった。そしてここでも誰もカサンドラの言葉を信じないのであった。
「とにかくだ。アキレウスは倒れた」
「うむ」
このことが彼等に勝利を確信させてもいた。それが驕りにもなっていたのだ。彼等はここで大きく楽観論に傾き言うのであった。
「ギリシアはもう打つ手がない」
「そうだな。講和を提案してみよう」
「我々にとってかなり有利な」
こう言い出したのだった。カサンドラの言葉を聞かずに。
そしてそれを王に進言する。彼もまたカサンドラの言葉を信じておらずトロイアの勝利を確信していた。だからこそ彼も決断を下した。
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