最終話 芝生の上でその三
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「大阪の人ってお金以外のことには気前がいいから」
「飴もなのね」
「そう、すぐに渡してくれるのよ」
こう里香に答えるのだった。
「お金だけは別だけれど」
「お金以外には」
「そう、気前がいいのよ」
そうだというのだ。
「大阪独特ね」
「皆飴を持ってて」
「他にも色々な特徴あるけれどね」
「そうね。大阪の女の人ってね」
「服装とか料理の好みもね」
そうしたものもなのだ、大阪のおばちゃんは。
「豹柄でね、お好み焼きとかたこ焼きとかおうどんとか」
「その三つ皆好きよね」
大阪のおばちゃんならばだ。
「嫌いな人いないわよね」
「まさに一人もね」
「それで野球は言うまでもなく」
「阪神タイガースよ」
このことは絶対である、大阪では老若男女誰もが阪神を愛しているがそれはおばちゃんもまた然りなのだ。
「当然ね」
「それも絶対よね」
「私達と一緒でね」
「そういえば何処かのグループがさ」
美優も話に加わって来た、既にゴスロリの服を着はじめている。
「阪神のユニフォーム着てな」
「歌うのね」
「そうらしいぜ」
「そうしたグループ絶対あるわよね、うちの軽音楽部」
「阪神はやっぱりな」
「皆好きだから」
関西にある学校だから当然と言えば当然である。
「当然としてね」
「一つは絶対にあるんだよな」
美優は里香に対して言った。
「本当に」
「私達もやったしね」
「全国から、いや世界中から人が集まる学校だけれど」
「野球はね」
これに限ってはだった、まさに。
「阪神なのよね」
「あたし達も全員阪神ファンだしな」
「ええ、私達もだし」
里香もゴスロリの服を着つつ応える。
「阪神は欠かせないわね」
「巨人を嫌いな人多いけれどさ」
まさに戦後日本の深刻な病の象徴でもある。巨人という忌まわしい球団がどれだけ野球をスポーツを歪めていることか。
だが、だ。阪神はというと。
「阪神嫌いな人殆どいないよな」
「他のチーム好きな人でもね」
「不思議と少ないよな」
「本当にね」
そうだというのだ。
「阪神はね」
「少なくてさ」
「皆六甲おろし歌っても怒らなくて」
「音痴でもな」
下手でも許される、六甲おろしはそんな歌だ。
「それで皆歌うんだよな」
「演奏してね」
「不思議なチームだよ」
「考えれば考える程」
「阪神はさ」
このチームはというと。
「魅力があるんだよ」
「他のチームにはないものが」
「それで嫌われなくて」
「華があるのね」
「阪神の華ってね」
どうかとだ、琴乃も言う。既にゴスロリの服は着ていてストッキングをはきはじめている。中々見事な脚線美だ。
「他のチームにはない」
「独特のなんだよな」
「それがあるからね」
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