第百五十一話
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第百五十一話 博士も忘れない
天本博士は清潔である、毎日入浴を欠かさない。身体は隅から隅まで石鹸を付けたスポンジでじっくりと洗い髪の毛もシャンプーで洗う。
そして歯もだ、毎食後磨いている。小田切君はその博士に尋ねた。
「確か博士不老不死ですよね」
「二百億歳じゃ」
不老不死どころではない。
「それがどうかしたのかのう」
「いえ、不老不死なら」
それならと言うのだ。
「別に歯を磨かなくてもいいですよね」
「何でじゃ?」
「歯を磨かなくても虫歯とかにならないですよね」
「いやいや、虫歯や歯槽膿漏にはならんがのう」
それでもと返す博士だった。
「歯を磨かんと口臭が酷くなるじゃろ」
「ああ、それで」
「そうじゃ、だから食べたらな」
それこそ毎食後というのだ。
「磨いておるのじゃ」
「そうだったんですか」
「あと毎日の入浴も欠かさないのじゃ」
そちらもだというのだ。
「匂わない為、そして清潔第一でじゃ」
「博士って綺麗好きなんですね」
「下着も毎日替えておる」
このことも忘れない博士だった。
「そして洗濯も部屋の掃除もじゃ」
「何でもなんですね」
「清潔第一じゃ」
これが博士の信条の一つだ。
「身だしなみはマッドサイエンティストの務めの一つじゃ」
「それは初耳ですけれど」
「わしはいつも綺麗にしておるぞ」
その通りだ、博士は髪型もセットしてそうしてだ、白のタキシードとマントで決めている。そうしたことがそれに出ているのだ。
「見ての通りじゃ」
「言われてみればそうですね」
「綺麗にしてな」
そして、というのだ。
「ダンディズムに徹することがじゃ」
「マッドサイエンティストの務めなんですね」
「マッドサイエンティストは格好よくあれじゃ」
胸を張って言う博士だった。
「小田切君もそうあるのじゃ」
「清潔にして身だしなみを整えてこそですね」
「マッドサイエンティストなのじゃ」
そうだというのだ。
「小田切君も風呂に入り歯を磨いてじゃ」
「そして身だしなみもですね」
「常に整えるのじゃ」
博士は己の信条も話すのだった、そうしてこの日もしっかりと歯を磨いて清潔さを大事にして生きているのである。
第百五十一話 完
2014・7・18
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