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東方魔法録〜Witches fell in love with him.
44 引越2〜I...It's not for you.
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うしょうもないからさ」
「え?…あ!ええ。吸血鬼だものね」

惚けていたアリスは慌てて返事をした。吸血鬼だからということを理解してもらったのはいいが、気まずい。

「まあ…その、座って?」

紛らわすように話題を変えるために、アリスに椅子に座るように言った。俺も話をするためにアリスと向かい合うように座った。パチュリーは完全とはいかないが復活して俺の補助なしで隣に座った。

「えっと、今日アリスを呼んだのは大事な話があるんだ」

大事な話とは引っ越すからここに来ても図書室はないということだ。
一週間ぐらい前に何時でも来ていいといいつつ、急に明日にいなくなることが申し訳ないと思った。

「実は…俺達、明日には引っ越す事になったんだ」
「…………。え?」

「呼ばれず飛び出てジャジャジャジャ〜ン!ゆかりん登場!」

俺達が着いているテーブルの上の空間に音もなく『スキマ』が開き、レミリアに似たようなナイトキャップを被った長い金髪の女性が宙に浮くように突然現れた。

「「「…………………」」」
「あれ?無反応?誰か驚いたっていいじゃない。ゆかりん傷ついちゃう」

そう言って彼女は顔を両手で隠し、涙も流さない嘘泣きを始めた。

「紫さん…。今大事な話をしてるんだけど…」

貴女の作った幻想郷に引っ越すことを彼女に伝えてるんです。

レミリアから幻想郷に引っ越すことを聞いたのは数日前。レミリアは「いい場所に引っ越すけど良いわよね」と質問ではなく、引っ越すことを前提とした確認作業を俺達にした。まあ、俺はパチュリーがいれば何処でもいいからいいと言った。父さんと母さん、エドワードさんとフラウさん、それにエリーとレイレウにはまた引っ越すと伝えてある。あとはアリスに伝えるだけだった。

「全く…神出鬼没ね…」
「あー!その声もしかしてアンタ!?」

パチュリーは紫さんの行動に飽きれていた。
アリスが立ち上がり、紫さんを指差して驚いた。

「ふふ、そうよ。私は八雲紫。ずっと見ていて面白かったわ」

紫さんはクスクスと扇子で口元を隠して上品に笑った。

「ん?知り合い?」
「姿は今知ったわ。コイツ勝手についた来て何時の間にか家にいたのよ。何がしたいのかわからないけど、明希とな…んでもないわ」

俺はアリスにたずねた。
アリスは始めは憤慨した様子だったが俺との辺りでその勢いが失せた。

「んん?そう。で、紫さんは何しに来たの」

俺は半目になって紫さんに質問した。
紫さんは扇子を歌舞伎役者のように一瞬で閉じ、アリスに質問した。

「私が引っ越しの話をここに持ち出したと言ったら…貴女はどうする?」

紫さんは俺ではなくアリスに質問した。
人の話を聞け。まあ、紫さんにいっても無駄か
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