第1部
第6話 加賀、苦悩ス〜其ノ弍〜
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飾りとか髪留めが良いかなと思ったんだけど、姉さんあんまり目立つもの嫌いそうだし、付けてても目立たないネックレスが良いかなと思って……」
「これは…ルビー?」
「いや、ロードクロサイトって言って7月19日=c姉さんの起工した日の誕生石」
薄暗い工廠の中にあって、尚淡く美しい光を放つロードクロサイト。
親指程もある宝石だ、決して安くはなかった筈だ。
「ロードクロサイトの石言葉は正義=B
正義感の強い加賀姉さんにぴったりだと思って……」
この鎮守府では起工日に艦娘を祝う会があるのだが、まさかこんな形で彼に祝ってもらう事になろうとは予想だにせず、思わず嬉しさがこみ上げて来た。
「……良い品ね、流石に気分が高揚するわ」
「…あ、ありがとう」
素っ頓狂な顔で私を見つめる彼。
…私が本当に喜んでいるのか分からない、と言う顔だ。
親子揃って似た者同士≠ニ言うわけだ。
私は薄ら笑いを浮かべながら、工廠の喧騒に消されないよう、彼の耳元でそっと呟いた。
「ねぇ、私…これでも今、凄く幸せなのよ?」
「え、…え? 今なんて?」
聞こえなかったのか、戸惑う彼を見て笑いが込み上げてくる。
笑っているのがバレないように、私は呼び止める彼の言葉を無視して歩き出した。
???
25分後 正規空母 加賀 艦橋
壁に掛けられた時計が午後1時丁度を指した。
「時間よ」
「うん、行こう。
…全艦隊に通達、これよりリンドヴルムと護衛艦隊は、横須賀鎮守府へ向かう。
全艦、機関始動ッ?? 進路1-8-5、前進微速ッ??
リンドヴルムを中心に輪形陣を取れッ??」
『『『了解ッ??』』』
工廠内から現れた護衛艦隊が、出港を待っているリンドヴルムを取り囲み、輪形陣へと陣形を組み替える。
更に前方には、深海棲艦への囮役となる、鎮守府の第1艦隊が先行している。
『気を付けて行くんだぞっ!』
『カズハーッ?? 横須賀海軍カレー、期待してマースッ??』
「長門姉さんも気を付けて。
金剛姉さんも大丈夫、期待しててよ」
第1艦隊と並列し、湾外へ出る。
湾外へ出たら、それぞれ別の方位へ進路を取った。
『一葉君、加賀さんや艦隊の皆さんに御迷惑を掛けないように。
あと夜遅くまで仕事で夜更かしは駄目よ?
食事もきちんと三食取るのよ?』
「わかってるよ餓鬼じゃないんだからっ??」
最後に加賀の隣を並列して居た鳳翔が離れて行く。
「おいカズハ、お前も隅に置けないなぁ〜。
あんな別嬪さんとイチャイチャしやがって、まるで新婚だな」
「お兄ちゃん、あの人…じゃなくて、あの艦娘さんとどういった関係なのかしら」
「馬鹿言え。
あれ、俺の母親だぞ=v
《………えっ?
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