第六話
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開いた。
「その甲斐あって、二十階、ここ、最上階まで登ってこれたのはいいんだけど――」
そこで青剣士が一呼吸。
「完全にマッピングしたはずなのに、どこにも見つからなかったんだよ。あるはずのボス部屋がね」
「え、ええ!?そんな、ありえないよ!第一層の迷宮は全部で二十階で、その最上階のどこかにボス部屋への大扉がある。NPCも言ってる確定事項だよ!?きっとどこかに見逃がしてるとこがあるんだって!あたしがベー……だむッ!」
再びの鈍い音、しかし今度は快感など感じる間もなく、俺の左手、しかもゲンコツがシーラの脳天へ命中し、その言葉を止めた。
ほぼ前回と同じタイミングで、彼女が頭を抱え、目に水分を蓄える。放っておけばまた喚き出すだろうが、俺は、今回ばかりは全力で、それを阻止した。
――お前、こんな出会ったばっかのヤツに、自分が《ベータテスト経験者》だってこと暴露するなよ。ただでさえ皆が皆、このゲームに幽閉されて気がたっているんだ。批判できるオモチャと見られれば、すぐに嬲られる……その上、この一ヶ月で幾人ものプレイヤーが死んだ責任を、テスターに求めているバカな輩もいるんだから。
と念じながらの睨みは、さすがのシーラにもある程度理解されたようで、不服そうに膨れる彼女に一息安堵した俺は、前方で何かしらの反応を起こさんとしているはずの青剣士を、誤魔化すための言い訳を頭に巡らせながら、ゆっくりと目線を剣士の方へと戻した。
さすがに感づかれたかもしれないなと、内心ハラハラしていた俺だったが、次の瞬間、青剣士から放たれた一声は、彼への最初の印象である『頭の回転が速そうな人』を、思いきり川へ投げ捨てるレベルのものだった。
「あははは、君たち本当に仲がいいね。もしかして……付き合ってたりするのかな?」
「ねえよ」
敬意など忘れて即答する俺の隣で、バカ正直に顔を赤くするシーラに、ひとしきり笑みを零した青剣士は、仕切り直しとばかりに咳払いを一つし、言った。
「それでマッピングが全部終わった後、オレたちも同じことを考えてね、見落としがあるはずだと思って、地図上をもう一回りしてみたんだ。それでもやっぱり他の道は見つからなかったんだけど、頑張って探してる内、代わりに変なモノを、何かのボタンを見つけたんだよ」
「は?ボタン?」
「そう、ボタン」
間抜けな響きの俺の疑問に、青剣士が真面目な面持ちで答える。
目をぱちくりさせていると、わずかに苦笑を漏らした青剣士が、すぐにそれを振り払い、続けた。
「壁の模様に同化してて、すぐには気づかなかったんだけどね。ともあれ他になんのあても無いしで、散々もめたんだけど、押してみることになったんだ。何が起こってもいいよう、回復薬もいっぱい用意して
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