第十九話 友人と仲間その二
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「誘いは時を見て声をかけて」
「そうしてなのね」
「そう、戦いは暫くはね」
六人でだというのだ。
「そうしていきましょう」
「六人か」
「それしかないわね」
「そうなんだよな、結局は」
薊も仕方ないといった顔で述べる。
「当面は」
「ええ、けれどね」
「敵じゃないからな」
「お友達よね」
「ああ、そう言ってくれたよ」
「それならいいわ」
「仲間じゃなくても、だよな」
「力の持ち主同士が争っても」
そうなってもとだ、菖蒲は冷静に述べる。
「何にもならないわ」
「そうなんだよな、どう考えても」
「私達の敵は怪人よ」
菖蒲は仲間達にこのことを強調して言った。
「鈴蘭さん達ではないわ」
「そうそう、あの娘達じゃないんだよ」
「怪人を敵であることは忘れたらいけないわ」
決して、とだ。菖蒲はこのことも強く言うのだった。
「そして彼等の謎を調べることもね」
「あの娘達は本当に敵じゃないな」
「変に対抗心を持つこともね」
「何の意味もないな」
「若し私達が争うことになれば」
その事態はというと。
「本末転倒以外の何者でもないわ」
「だよな、本当に」
「後は」
ここでだ、菖蒲の目がこれまで以上に強い光になった。そのうえでまた仲間達に対して言うのだった。その言うことはというと。
「私達の中でも言えることだけれど」
「?あたし達もかよ」
「そう、あの娘達は第三勢力になっているわ」
このことも言うのだった。
「私達と怪人、そしてね」
「鈴蘭ちゃん達か」
「勢力が三つあってそのうちの二つがいがみ合うと」
「残る一つが得をするわね」
すぐにだ、裕香が菖蒲のその指摘にはっとなった顔になって言った。
「そうよね」
「よくある話ね」
「ええ、漫画とか小説でもね」
「漁夫の利よ」
菖蒲はこの言葉も出した。
「二つの勢力が争うと残る一つが得をするわ」
「私達の中で仲間割れがあってもよね」
「そう、若しもね」
菖蒲は無表情のまま今屋上で車座になっている面々を見回した、六人の力の持ち主と裕香、そして智和である。
「私達の中に亀裂が走ったら」
「内部分裂ですね」
桜はそれが何かをだ、深刻な顔で述べた。
「つまりは」
「そう、そうなってもね」
「まずいですね」
「古来より内輪揉めで駄目になった話は多いわ」
古今東西枚挙に暇がない、これによって滅びた国家や組織も多い。また勝てる戦いを敗れたことも多い。
「それ故に」
「私達は常にまとまって、ですね」
「そうあるべきよ。その為には」
桜に応えながらだ、菖蒲は言葉を続ける。
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