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ドリトル先生と伊予のカワウソ
第五幕その六

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「どうも考えがわからんのじゃ」
「カワウソさん達とのお付き合いは」
「かつてはあった」
 これが長老さんのお返事でした。
「あの人達が日本のあちこちにいた時はな」
「その時はですか」
「今さっき言ったがカワウソも化けられるのじゃ」
 狸達と同じく、というのです。
「そしてわし等狸達とも仲がよかった」
「では」
「それはあくまでこの国のカワウソ達じゃ」
 つまりニホンカワウソのお話だというのです。
「日本のカワウソじゃからな」
「イギリスのカワウソ達とはですか」
「はじめて会った、むしろ来て驚いておる」
「この松山に」
「金之助先生がイギリスに縁があるのは知っておる」
「しかしイギリス自体には」
「わしも他の狸達もな」
 誰もがというのです。
「イギリスには行ったことがない、誰も知らぬ」
 イギリスのことをというのです、長老さんはその飄々とした感じのお顔を難しいものにさせてそのうえで先生にお話するのでした。
「そしてあちらのカワウソのこともな」
「異国の彼等のことは」
「その異国のこともな」
「そうですね、ではここは」
「どうすればよいかのう」
「まずはです」
 先生はこう長老さんに言いました。
「狸さん達のお話を聞きたいのですが」
「わし等のか」
「はい、まずはです」
 それからというのです。
「貴方達のお考えを」
「イギリスから来たカワウソ達とどうしたいのかをじゃな」
「そのことをです、そして」
「それからもあるのじゃな」
「あちらのお話も聞きたいと思っています」
 カワウソさん達のお話もというのです。
「双方の」
「まずはそれからか」
「はい、狸さん達だけでなく」
「相手のこともじゃな」
「お聞きしてから」
「考えて下さいるか」
「そう考えています」
 先生は長老さんにこうお話するのでした。
「長老さんはまだどうされるかは」
「どうしていいかわからんからのう」
 長老さんは難しいお顔で先生に答えました。
「それでな」
「僕を尋ねてくれたのですよね」
「先生が松山に来られなかったら四国の狸の長老達と話してな」
「それぞれのお国のですね」
「団三郎達と話してな」
 そして、というのです。
「どうしようかと思っておったのじゃ」
「そうだったのですか」
「うむ、しかし幸い先生が来られた」
 だからだというのです。
「今こうして先生のところにお邪魔したのじゃよ」
「そうですね」
「これが日本のカワウソ達なら問題はなかった」 
 何もというのです。
「昔は付き合いもあったしのう」
「しかしイギリスから来ているからですね」
「動物園におるな、あのカワウソさん達はよいのじゃ」
 彼等は別にというのです、それはどうしてかといいますと。
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