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クピドの贈り物
3部分:第三章
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第三章

「僕も君に言うことがあるんだ」
 彼は言ってきた。
「何かしら」
「実はね、僕は人間じゃないんだ」
「えっ」
「僕の名はクピドっていうんだ」
 人間ではないという言葉に目を丸くさせるプシュケーにさらに言った。言いながら手を少し動かせる。まるで手振りを加えるかのように。
「クピドっていうと」
「うん、恋を取り持つのが仕事のね」
 そうプシュケーに言う。
「神様なんだ。黙っていたけれど」
「そうだったの。まさか」
「そのまさかだったんだ。それでね」
 クピドはさらに言葉を続けた。
「僕の命は長いから君とずっと一緒にはいられない。けれどさっき言ったよね」
「ええ」
 プシュケーはクピドのその言葉に頷く。頷きが少し強張ったものになっていた。まるで怯えているかのように。実際に彼女は怯えていた。まるで彼の言葉を恐れているように。
「心では一緒だって」
「言ったわ。その気持ちは本当よ」
「そうだね。その気持ち確かに受け取ったよ」
 それをはっきりと言った。
「だから」
 ふと顔を前に戻した。そこにあの花があった。
「何時かは君の心と一緒に神様に戻らないといけない。けれどね」
 花は何も語りはしない。黄色く素朴な姿でそこに咲いているだけだ。そうしてそこに素朴な姿で笑っているだけであった。少なくとも笑っているように見えた。
「これを。この花を」
「デージーを?」
「君とここでいた記憶に何時までも持っているよ」
 じっと花を見て言う。その目を花から話はしない。
「その証拠に」
 魔法を使った。それはデージーに向けられたものであった。
「春にね。これを」
「春に」
 デージーが牧場全体に咲く。緑の絨毯が黄色く変わった。そのように見えたのだ。
「僕達が出会ったことはこれでずっと残るよ」
 またプシュケーに告げた。
「ずっとね。何があっても」
「有り難う」
 プシュケーは嬉しさで泣きそうな顔になった。その顔で礼を述べる。目が潤み熱い涙が溢れそうになる。
「じゃあこのデージーを私が死ぬまでずっとね」
「死んでからも。心の中で」
 二人は言葉を交えさせる。心が重ね合う。
「見ていようね」
「ええ」
 こくりと頷き合う。二人の心は完全に重なり合った。
「その為にもね。この花を」
 クピドはデージーをまた見た。それに魔法をかけた、
 するとそれが牧場全体に拡がった。黄色い絨毯が牧場を覆ったように見えた。それはクピドからプシュケーへの贈り物であったのだ。
「デージーが」
「春になったらいつもこうなるよ」
 またプシュケーに顔を戻す。そのうえで言う。
「こうしてね。それでいつも」
「春になったら思い出すのね」
「うん、僕達が出会ったこの時のことをね」
 にこりと笑ってプシュ
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