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ドリトル先生と伊予のカワウソ
第五幕その三
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「イギリス、いえ欧州や中東、それに中国もですが」
「城とは即ち街ですね」
「そうです、城壁で街を囲んでいます」
「それが城ですね、大陸の方の」
「しかし日本のお城は」
 今先生達がその中を歩いている松山城にしてもです。
「街を囲んでいませんね」
「平城京や平安京は違いましたが」
「それに小田原もですね」
「しかしこの松山城にしても」
「他の殆どのお城もですね」
「町を囲んではいません」
 城壁や堀で、です。
「そうしたことはありません」
「そこが違いますね」
「天守閣もありませんね」
「塔はありますが」
 物見のものです、その役割は天守閣と同じではあるのですが。
「こうしたものもです」
「ないですね」
「いや、こうして見ますと」
 先生はお城の中からさっきまでその中にいた天守閣を見ました。そのうえでこう言うのでした。
「芸術品の様ですね」
「よく綺麗な天守閣だと言われます」
「そうですね、実際にです」
「綺麗ですね」
「この様なものは日本にだけです」
「あるものですね」
「はい、他の国にはないです」
 先生はうっとりとしながらその天守閣を見て加藤さんにお話します、動物達も先生と一緒にそのさっきまで登っていた天守閣にいます。
「これもまた日本独特のものです」
「そう言われると驚きますね」
「驚かれますか」
「日本だけのものと言われますと」
「しかしです」
「天守閣はですか」
「この様な様式のお城にしてもですし」
 街を囲んでいないお城にしてもというのです。
「そして日本の建築様式も」
「欧州や中国とはまた違って」
「はい、あまりにも独特です」
「そこまで独特ですか」
「日本という国自体がですね」
 イギリスから来られた先生のお言葉です、それだけに加藤さんにしても先生のお言葉に確かなお顔で聞くのでした。
「あまりにも独自の文化を持っています」
「ううむ、時折言われることですが」
「他の国の方からですね」
「独特に過ぎると」
「しかし加藤さんはですか」
「これが普通だと思っています」
 日本がというのです。
「しかし違うのですね」
「イギリスも独特だと思いますが」
「日本は、ですか」
「またさらにです」
「独特であるのですね」
「それだけにです」
 先生は天守閣からです、またお城の中を見回してお話しました。
「面白く楽しく、魅了されます」
「魅了、ですか」
「はい、されます」
 そうなるというのです。
「ですからずっといたいとさえ思っているのです」
「どうも先生に日本は合っているのですね」
「合っているといいますか」
「魅了されたのですね」
「はい、そうです」
 まさにというのです。
「そうなっています」
「ではやはり国籍は」

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