第五幕その一
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第五幕 狸の総大将
先生と動物達は加藤さんに案内されて松山城に来ました、そうしてその松山城の天守閣に登ってそこからの景色を見てです。
先生はとても嬉しそうにです、加藤さんに言いました。
「お話には聞いていましたが」
「素晴らしい景色ですね」
「日本のお城の天守閣については勉強していましたが」
「言うならば日本のお城の象徴です」
「そう言うべきものですね」
「神戸からでしたら近くにお城が幾つかありますね」
「はい」
その通りだとです、先生も加藤さんに答えました。
「岡山城に姫路城、それに大阪城と」
「どのお城にもすぐに行けますね」
「はい、どのお城の天守閣も見事ですが」
「それでもですか」
「まだどのお城の天守閣も登ったことはありません」
「そうなのですか」
「この松山城がはじめてです」
先生が登った天守閣はというのです。
「これまで機会がありませんでした」
「姫路城もですか」
「近くですし行くべきだったのでしょうが」
それでもだというのです。
「日本に来て大学と八条町を見て回っていますと」
「あの大学、学園自体が色々なものがありますからね」
「動物園に水族館、博物館にと」
「植物園に美術館もありますしね」
「そうした場所を見回っていて」
「姫路城はですか」
「まだでした」
行っていなかったというのです。
「今思うと惜しいことをしました」
「いやいや、お城は逃げませんよ」
実際に残念そうなお顔になった先生にです、加藤さんは微笑んでこう言いました。
「決して」
「それではですか」
「はい、先生は日本にずっとおられるのですね」
「そのつもりです。国籍も取ろうかと考えています」
「それならです」
「時間がある時にですか」
「色々なお城に行かれるといいです」
「天守閣を見て登ればですね」
「そうされれば宜しいかと」
こう言うのでした。
「大阪城にしても」
「大阪城、天下の名城と言われていますね」
「大阪の象徴ですね」
「大阪には行ったことがあります」
その時に大阪城までは行っていないのです。
「それで美味しいものをかなり食べましたが」
「あそこは食の街ですからね」
「はい、しかし」
「大阪城にはでしたか」
「今度行ってみます」
「松山城は確かに天下の名城ですか」
加藤さんは地元のこのお城を第一としました、ですが。
しかしです、大阪城についてはこう言うのでした。
「あのお城もまた天下の名城です」
「いいお城なのですね」
「あの豊臣秀吉が築いた城です」
それだけにというのです。
「それだけに違います」
「名城ですか」
「はい、とはいっても今の大阪城はあの時の大阪城ではありませんが」
「豊臣家は
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