喪失‐ロスト‐part1/王子との謁見
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、トリスタニアにおける怪獣の被害がもとで行われている復興作業に支障をきたす。そんな状態で、もしも我らが敗北し貴族派のトリステインへの侵攻を許すことになったり、また別の理由が飛来する怪獣を相手にしたら、トリステインは間違いなく滅亡する。
それに、始祖ブリミルの名において永遠の愛を誓ったのは昔の話だ。彼女と僕の名誉、そして始祖に誓って言おう。亡命を勧めるような事は一文たりとも書かれていなかったと」
かたくなに亡命を拒むウェールズに、ルイズはとにかく彼を説得しようと言葉を発そうとしたが、その前に窓の外を眺め終えたウェールズがルイズへと視線を戻し彼女の肩に手を置く。
「ミス・ヴァリエール。君は正直でどこまでも真っすぐで良い目をしている。亡国への大使としては適任かもしれない。だがしかし、そのように正直では大使にはむかないよ。しっかりしなさい」
ウェールズは微笑ながら言った。
あの笑みは、嘘だ。キュルケは恋愛について経験豊富なためかウェールズの笑みが無理に作ったものだと理解した。本当にアンリエッタと恋仲なら、さっきの手紙の内容を呼んだ時と同様内心ではうろたえているのかもしれない。他の男にアンリエッタを奪われることに歯がゆい思いをしているかもしれない。きっと、自分の存在そのものさえもいずれアンリエッタと互いに交換し合った恋文と同様、ゲルマニア皇帝との縁談…つまりトリステインの未来に置いて障害でしかなくなることを考えて亡命を拒んだのだ。見ていて正直じれったくて、自分もルイズのように亡命を進めるべきかと思った。できることなら、身分もしがらみも関係なく恋する者たちの味方をしていたい。でもゲルマニアは祖国だ。喋ったところでメリットなんかないし、本人たちの意思のもとで決まっている以上、手を貸したところで何もできないのが目に見える。アンリエッタとウェールズの愛し合っていると言う事実は、両国のためにも…敢えて聞かなかったことにしておこうと悟った。
愛し合う二人が結ばれないと言う残酷な現実にルイズは俯き、目じりに溢れてきた涙をぬぐった。
「ならば皇太子様、私から一つせめてもの提案がございます」
すると、ワルドがウェールズの前に一歩出て言った。
「なんだね?ワルド子爵」
次にワルドの口から言い放たれたその提案に、大半の人間が耳を疑った。
「王党派の勝利を祈願の意味も兼ね、私とルイズの婚姻の媒酌をお願いしたい」
「「「「!!?」」」」
サイト・ルイズ・ギーシュ・キュルケ・タバサがワルドの突拍子もない突然の提案に唖然となった。こんな時に…!?いくら勝利祈願のためだからって、そんなの気分的にもいいものなのか?いや、いいはずがない!
しかし…。
「ああ、喜んで引き受けよう!兵たちも、炎の空賊のクルーたちもきっとお二人のめでたい晴れ舞台をご覧になって入り一層士気を高める
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